第104話 空港ステーション②
「空港とは言っても普通のステーションなんだな」
「正式には空港型宇宙ステーションだな。だからステーションと言っても間違いではないよ」
コクピットから外を見ると円錐形を逆さにしたステーションが見る。
外壁はキラキラと輝いており恒星の光りを反射していた。ソーラーパネルを外壁に貼り付けてある感じだ。
そのステーションの中央には巨大なゲートが見える。そこから多くの船が出航する姿が見えることから、あそこから入港するみたいだ。入管ステーションみたいに個々に分かれている、という感じではない。
「ゲートが1カ所しか見えないが、あそこから入るのか?」
「ああ。中に入れば分かるが、中には更にゲートがあり、そこで別れてドックに入る。各ドックは移動式で、入ると他の場所に移動する。まぁ、言っている意味がわからないと思うから今は気にしなくてもいいよ。入ればわかることだから」
ローズが楽しそうに話すからには面白い物が見られるのであろう。
入ればわかるということなら、それ以上は聞かなかった。
「それよりも少し小さくないか? 入管ステーションと比べると半分ぐらいの大きさしかないが」
「いや、もっと小さいと思うよ。ここは空港なので中で人が暮らすようにはできていない。だから街がないということだ。詳しくは中に入ってから説明するが、惑星に近いステーションはみんなこうだ。逆に入管ステーションが大きすぎるんだ。あそこは元は軍事ステーションだからね。軍の施設だけでも結構な場所を取るし、商人が集まってきて物流が活発になれば人が暮らすようになる。自然と大きくなったという感じだな」
ローズと話していると、ゲートの中に入って行った。
中を少し進むと更に複数のゲートが横にずらっと並んでおり、8番と表示されてゲートが開いていた。そこに船を入れるとゲートが閉まり、船がアームで固定された。
「153と壁に書かれているがあれは?」
「このドックの番号さ。部屋番号と思えばいいよ。ドックの番号がわからないと外に出たら帰って来れなくなるからね。ちゃんと覚えておくように」
ステーション内は複雑で、自分の停泊場所がわからなくなることから番号を覚えておく必要があると言う。同じ場所に船があるとは限らないからだと。
「船の停泊場所が変わるということか?」
「ドックは移動式なので状況によっては場所が移動する。しばらくすると動くからわかるはずだよ」
船のジェネレーターが落とされてしばらくすると、コクピットに振動が伝わってきた。外を見るとドックの窓から光りが流れている。
ドックが移動しているということだ。
「今はドックがステーション内を移動している。今回は直ぐに出航する予定だから、検査場へ直接送られる。乗り換える場合は保管場だな。そこで色々と検査を受けることになる」
ドック内で船が固定されるとドックが移動し、目的の場所へ運ばれる。
船が移動するのではなく、ドックごと移動する仕組みになっていた。
立体駐車場と思えば分かりやすいか。
だから後からどこに収容されたか分かるようにドックに番号が振られている。船を降りたときに場所が分かるようにと。
「入れば分かるよ、とはこういうことか?」
「そう。空港は入管ステーションと違い船を長期間預かる場合がある。それに惑星が近いためこの中で生活する市民はいない。だから作りが根本的に違うのさ。ステーションの中に街はないし、企業も少ない。あるのは船の整備会社や配送会社、それと商品を販売する物販系の会社ぐらいだな。生産系は地上に会社がある。物を作るのであれば地上の方が土地が広く使えるし税金が安いからね。ステーション内で生産する理由がない。ここはあくまで空港という施設なので、普通のステーションとは違うということだ。メインは船の管理だからね」
空港と考えると船の管理がメインという理由もわかる。
それに街を作る理由もないと。
「だから小さいのか」
「大きく作る必要はないね。惑星が近くにあるんだから」
大きく作ればそれだけ金がかかる。
役割を考えると、そこまで大きく作る必要はない。
宇宙船を管理できればよいだけの話しだし。
「この後は?」
「ドックが検査場に到着すると検査員が乗船するので、それを待って出航だな。合格すればの話しだけど。エミリーさん、降下申請は送ってある?」
「送って有るわ。シューイチを除いた全員分ね。向こうからの連絡待ちになるわ」
「と、いうことで、しばらく待機だな。シューイチは見つからないように隠れていろよ。見つかったら下に降りられなくなるからな」
それはそれで俺としてはラッキーなんだが、みんなが怒りそうだがらできないか。
見つかりにくいところで隠れているか、インヒビションの魔法を使ってね。
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