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第102話 ミグラクス星系第1惑星


外から見るミグラクス星系第1惑星は、海も緑もなく、大地と無機質な建築物が広がっているだけだった。

初めて見たときは某アニメでみた地球そっくりで、放射能に汚染されているのではと疑ったぐらい赤茶色かった。

だが、元々そういう惑星らしく、水も緑もないらしい。


「どうしてこんな惑星が領都に? 水も緑もなければ生活できないだろ?」


今は衛星軌道上にある空港に入港するため待たされている。

混雑しているらしく、申請を出してから1時間以上も待たされていた。


「その代わり希少な鉱石が採掘できるんだよ、ここは。だから主だった製造メーカもここに集まっている。特に造船関連の会社が多いな。一部では軍の戦艦もここで開発していると噂だし」


ローズとメインモニターに映し出されている惑星を見ながら雑談していた。

いつ入港申請が通るか分からない状態なので、コクピットで他のメンバーと一緒に待機中だ。だから、時間を持て余していた。


「希少な鉱石とは?」

「アダマンタイトだよ。精密機器を作るのに必要な素材なんだよ。特に重力制御装置や発生装置には欠かせない物なんだ」


アダマンタイト!?

まさかここで聞くとは思わなかった。

他の異世界でも超希少な鉱石で、鉱山で採掘されることがほぼなく、ダンジョンの最下層とかでたまに見つかる程度だった。

一塊持って帰ればそれだけで数百万円。

だから希少性が高く、いつも高値で取り引きされていた。

鋼よりも強度があり熱にも強いことから剣士には人気があり、逆に魔法を使う者からは嫌われていた。

アダマンタイトは魔力を弾く性質があり、剣とかに魔法を付与することができない。それに持っていると魔力の力が弱くなり威力が落ちる。だから俺も使っていなかった。剣に魔力を纏わせることができないからだ。

魔力と相性が良いのはオリハルコンで、俺は主にそっちを使っていた。オリハルコンも希少な鉱石だったので、この世界で見つかるかは分からないが。


「アダマンタイトを使うのか?」

「技術的な事は知らんが、何でもアダマンタイトは特殊な電磁波をだしていて、それに電気を流すと重力が発生するとか。それを使って重力を発生させて船やステーションで生活できるようにしている。だから宇宙に出るのに欠かせない物になっているんだ」


特殊な電磁波?

なるほど。それが魔力を弾く原因か。

こうやって科学的に調べられると納得する。

異世界では調べようがないからね。


「でも、生活は大変そうだよな。水はどうしているのだ? 輸入に頼っているのか?」

「足りない物は全て輸入さ。これはどこの惑星でも同じで、なに不自由なく全てが揃っている惑星の方が少ないぐらいだからね。確か木材なんかも輸入のはず。空気は作っていると聞いたが」


水は近くに氷惑星があるので、そこから切り取って運んで来るらしい。

それを地表で解凍し、飲み水として使えるように濾過しているとか。

運搬費などがかかるが、この惑星が生み出す富に比べたら微々たるものなんだそうだ。


「空気も無いのか、この惑星は?」

「いや、空気は普通にあるぞ。それはテラフォーミングで住めるようにしたからな。ただ、植物が育たない惑星になった。土からでる有害な物質が植物を枯らすらしい。それでプラントで植物を育てて酸素を作っているという話しだ。他の惑星と比べて建造物がやたら多いのは酸素を作るためのプラントということだ」


酸素を作るため他の惑星から土を運んできて育てているとか。

この惑星の土が混じると枯れるので全て室内で育てている。


「わざわざ植物でなくてもステーションみたいに機械で空気を作れないのか? 手間がかかるだろ?」

「酸素発生装置を大量に作れば可能だろうが、あれは水が大量に必要だし、設置やメンテナンスに金がかかる。この惑星全土を補う量を作るとなるとプラントで植物を育てた方が遙かにコストは抑えられる。それに植物といっても食用になる物を育てているので、全て輸入に頼っている食糧事情を考えればマイナスになるということはない。その分、手間はかかるが、悪いことばかりではないということだ」


プラントで育てているのは野菜のほか成長が早い穀物なども育てている。

それを市民の食料に当てているそうだが、それでも足りないのが現状で輸入に頼っている割合は大きいと言う。

領都ということもあり、ニルブルク星系とは比べられないほどの人が住んでいる、ということだ。


「自給自足ができないのに、そこまでして住まなくても良いと思うがね」

「この惑星の資源は貴重だから、海賊とかに襲われて奪われないようにするためにそうしている。軍に守らせても良いが、軍を動かすとなるとそれはそれで金がかかるし、傭兵を雇って守らせても良いが所詮は傭兵、命が危なくなればさっさと逃げる。信用できないということだ」

「それはそうだな。誰でも自分の命は可愛いものさ。命を掛けてまで守ることはしないね」


冒険者もそうだった。

魔物退治を依頼しても、危なくなれば周りがどうなろうと逃げる。それは仕方がない。死んでしまえば元も子もないんだから。


「それで一番手っ取り早いのが、ここを領都にすることだ。そうすれば領都を守る軍をそのまま警備に回せるし、ここを襲おうと思う海賊もいなくなる。それに企業を誘致すればそれだけで税収も増える。長い目で見れば、それだけの利益が出せるということだな」


惑星で開発・製造すれば鉱石を輸送する必要がなくなり、その費用も抑えられる。

遷都をする費用を考えるとどうなのか分からないが、ローズの言うとおり、長い目で見れば利益は出るのかもしれない。



ご覧いただきありがとうございます。


……ストックが無くなりました。

毎日アップできるように頑張っていますが、追い付かない現状です。

更新頻度は下がると思いますが、気長に付き合って下さると嬉しいです。

ついでに評価もしてくれると嬉しいです。

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