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第100話 お食事会①


俺たちが船に戻ると検査も無事に終わっており、星系への入領許可が下りていた。

買った食料も既に届いており、その多さにロズルトが渋い顔をして見ていた。


「いくら何でも多過ぎではないのか? 6人分以上はあるぞ」

「そう? これでも足りないかと思ったんだけど……」


段ボールで4箱が山積みになっている。

どう見ても1食分だけではないのはわかる。


「足りないってお前……」

「だって領都がある第1惑星に着くまでは時間がかかるでしょ? その間に食べる量だから少ないと思ったの」

「……」


それを聞いてロズルトが呆れている。

まさかその間全部冷凍食品で済ますとは思っていなかったようだ。


「はぁ、わかった。買ってきた物はしょうがない。管理はきちんとしろよ。駄目にしたらもったいないからな」


それだけ言うとコクピットへ戻った。

あまり強く言わなかったのは料理が不味いことを知っているので、こうなることは予測していたからだろう。

食に関する不満はエミリーだけではない。ローズを除く、始めてこの船に乗ったみんなが言っていたことなので駄目だとは言えなかった。ロズルト自身も言っていたことだし。

それに自分も食べたいと思ったのかもしれない。

領都まではまだ時間がかかる。不味い食事を食べ続けるかと思うと怒れなかったのかもしれない。



港湾入国管理局から出航の許可がおり、ハッチに接続されていた通路が格納された。

空気が抜かれ真空状態になると、重力制御装置がオフになり無重力状態になった。

ゲートが開き、船を固定していたアームが解除され、船が宙に浮く。

ローズの「発進」の声でスラスターに火が入る。

ゆっくり上昇し、入管ステーションを後にした。

半日も滞在しない短い観光だった。



入管ステーションから少し離れると、自動操縦に切り替わる。


「ワーブの準備を。チャージ開始」

「了解」


ローズが指示を出し、エミリーが答える。

最初は勝手が違うのか手間取っていたが、今は慣れた手つきで操作をしていた。


「チャージが終わるまではやることがないので食事にしよう。せっかく買ってきたことだし」

「俺が準備をするよ。元食堂勤務だったからね」


諜報部のジャックが準備でコクピットを離れた。


「見張りはいいのか?」

「ああ。この辺りはステーションが近いので星系軍が目を光らせている。だから危険はないはずだ」


最重要施設なので軍が宙域を巡回をしている。

そんなところに海賊が現れ、襲われるわけがない。

この宙域にいる間は大丈夫ということだ。


「そういえばステーションを離れるとき星系軍の巡洋艦を見かけたがあれは?」

「多分だけど整備と休暇を兼ねて入港したんだと思うよ。入管ステーションには軍の施設があるからね」


我々が入ったゲートの反対側が軍専用のゲートになっていて、関係者以外は入れないエリアになっている。

軍の施設もそっちにあるんだそうだ。


「近くに駐屯地は? そこで整備はできないのか?」

「この辺りに駐屯地はないね。そもそも入管ステーションがあるんだから作る必要はない。ここで整備・補給ができるのだから」


入管ステーションの管理は領主だし、星系軍の管理も領主だ。膨大な費用を掛けてまで駐屯地を作る必要はない。共有すれば良いだけの話しだと。


「それに、元は軍事ステーションだったんだぞ、ここは。それを増築・改造して入管ステーションにしたのさ。経費を抑えるためにね」


同じ場所に2つもステーションは必要ない。そういう理由でこうなったらしい。

その分管理費も抑えられると。


「軍事ステーションが入管ステーションを兼ねているということか。狙われそうで危ない気がするが」

「その逆さ。民間人がいるから狙われないのさ。ここには多くの国から商人が集まってくる。そこを攻撃したら他の国も黙ってはいない。敵を増やすだけだ。だから安全なのさ」


商人を人質にしているということか。

確かに軍と関係ない人を攻撃すれば非難を受けるだろう。

攻撃しづらいのは確かだ。


「それに宇宙ステーションを攻撃する馬鹿はいない。入港を拒否されれば自分達が困ることになる。補給にしろ整備にしろどこかのステーションやコロニーでしなければ生きてはいけない。自分達の首を絞めることに繋がるのさ。今はステーションを攻撃する海賊もいないよ」


昔はそういったことをした宇宙海賊がいたそうだが、奪った荷を捌く場所は宇宙ステーションなので、荷が捌けなくなれば結局は自分達が困ることになる。

だから攻撃しなくなったそうだ。


「奪った積荷を捌く場所が宇宙ステーションならそれを攻撃したら捌けなくなる。稼げなくなるということか。でも、海賊がどうやって売りに来るのだ? 指名手配されていれば入港できないだろ?」

「それには裏があって闇取引で商人が海賊から買うのさ。普通よりも安く。それを宇宙ステーションやコロニーで捌いているというわけさ。本人が直接売りに来るわけではない」


そういったことを専門にしている商人がいて、海賊の代わりに荷を卸しているとか。

商人からしてみれば、出所などどうでも良くて安く手に入ればそれで良い。

そういう黒に限りなく近いグレーな商売もあるという話しだ。

商人が奪ったわけではないので罰するのは難しいし、知らないで買ったと言えば罪には問えない。

買ってくれる商人がいるから宇宙海賊が減らないという悪循環にも繋がっている。



ご覧いただきありがとうございます。


……ストックが無くなりました。

毎日アップできるように頑張っていますが、追い付かない現状です。

更新頻度は下がると思いますが、気長に付き合って下さると嬉しいです。

ついでに評価もしてくれると嬉しいです。

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