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第99話 入管ステーション③


食料品店に入ると色んな種類のフードボトルが出迎えてくれた。

やはりここもフードボトルがメインで、色んな産地のボトルが種類ごとに分けられていた。


「数が多いな……」

「入管ステーションには色んな国から物が集まってくるからね。同じ野菜一つとっても味が全然違うのよ。だからこれだけの種類があるわけ」


産地が変われば味も違うという。

食べ比べて見るのも食の楽しみかもしれない。


「それなら違う産地のフードボトルを買っていけば美味しくなるのか? どう考えてもそれ以前の問題のような気がするが……」

「あの自動調理器ではどんなボトルを使っても美味しくならないわよ。だからフードボトルを替えても駄目。それ以外にしないと」

「それ以外と言われてもなあ……」


この世界に来て生の食材を見たことが無い。

全て加工されていてフードボトルにされている。

それに例えあったしても調理できないだろ。鍋やフライパンなどなかったし、それに調味料も。

コンロすら無いのだから無理な話だと思うが。


「あっ! アレなんかはどうかな!」


そう言ってエミリーが指を差すのは冷凍食品コーナーだ。

この食料品店には冷凍食品が置いてあり、店の一部を占領していた。


「冷凍食品なんて初めて見たな……」

「そうなの? でも、惑星だと売っていないかもね。美味しい自動調理器が普及しているから」


冷凍食品は、どちらかと言うと庶民より船乗りに人気があり、外食ができない船乗りがたまに気分転換で食べたりする。


「でも、買っても調理できるのか? コンロとかなかったぞ」

「あれは暖めるだけで食べられるやつよ。自動調理器には暖めるだけの機能もあるわ。それで暖めて食べれば良いのよ」


あれには電子レンジの機能もあるのか。

なら大丈夫か?

どんな味か分からないので、試しで買ってみるのも悪くはない。


「どんな種類があるのだ?」

「なんでもあるわよ。合成ステーキにパスタに野菜炒め、他にもミートシチューや……まって! オーク肉まであるわ!」

「オーク肉?」


おいおい、まさかあのオークでは無いだろうな。

どこかにオークが存在しているのか?

魔物がいることになるぞ。


「オーク肉とは大型の雑食動物よ。どこかの国で繁殖させて食用に卸していると聞いたわ。でも数か少なくて市場に滅多に出ないの。今日はラッキーだわ」


嬉しそうに話しているが、俺が知っているオークだと二本足で歩く豚なんだが。

あれを繁殖してってどうやっているの?

そっちの方が気になるんだが。


「お金は大丈夫なのか? かなり高いのだろ?」


値段を見るとフードボトルは1本500ニルから買えるが、冷凍食品は1食1000ニルからだ。

しかもオーク肉はもっと高い。100グラム5万ニルと書いてあるぞ。

金持ちでないと買えない物だ。


「お金の心配はいらないわ。ロズルトからこれを預かってきたから」


そう言って見せたのが黒色したカードだった。

無制限に使えるらしく、家や戦車も買えるとか。

おいおい、どこのカードだよ、と突っ込みそうなった。


「気前が良いな」

「違うわよ。元はグランバーから預かった物よ。領都に行ったときに宿とか泊まるでしょ? 向こうはそういうのが高いから持たせてくれたのよ。グランバーに感謝だわ」


カードを握り締めながら、今日一番の笑顔で話す。

そういうことなら心配はしないが、でもこんなのに使って良いのか?

主旨が違うような気がするが……。

俺が憂慮している間に、カートが物で溢れている。

預けてはいけない人に預けたのではないのか?

凄く不安なんだが。

何だか関係ない物まで買って使いそうな気がする。


「フフフ、必要経費よ」


俺の不安を感じ取ったのか、ニコニコ顔で言い切っているがどう考えても必要経費にはならないだろう。

俺たちが我慢して食べれば良いだけの話しだし。



お店をを出ると満足顔で歩いて行く、エミリーが。

その笑顔を見ると、とても良い買い物をしたと語っている。

俺たちは彼女に任せていたので何を買ったかは知らない。ただ、レシートが長かったのだけは覚えている。


「配送してくれるんだな」

「いっぱい買ったときはね。船があるゲートまで届けてくれるのよ。ステーションにはAGC(車)がないから」


宇宙ステーションやコロニーには物流配送システムがあり、建物の地下からコンベヤに乗せて送るそうだ。

わざわざ宅配業者が取りに来ることはない。


「AGCはステーション内で乗れないのか?」

「あれの反重力装置は惑星の重力でないと駄目なのよ。機械が作る重力には反応しないわ。だから持ってきても動かないから使わないだけ。それに移動はAGCでなくステーション内を走るモノレールがあるから必要ないのよ」

「モノレール?」


エミリーがその方向に支線を向ける。

ここからだと遠いが、天井にぶら下がっている電車を発見した。あれがモノレールらしい。

ステーション内を移動する時はあれに乗って移動するそうだ。


「そういう交通手段もあるのだな」

「反対側まで歩いたら何時間も掛かるからね」


確かにそうだな。

俺もさすがに歩きたくはない。


「それよりも大量に買っていたみたいだが、あんなに買って冷蔵庫に入るのか? 常温で保存できないのだろ?」

「大丈夫よ。空調を調整して格納庫に置いておけば冷凍庫になるわ。室温を下げておけばいいのだから」


今は格納庫が空だからできるワザで、積荷があるときはできないそうだ。


「格納庫は倉庫として使うこともできるのよ。積荷が冷蔵の時もあるし、温度調整ができるようにしてあるのよ。だから心配しなくても大丈夫。しばらくは美味しいご飯が食べられるわよ」


それほどあの調理器が作ったご飯は食べたくないのか。

まぁ、俺もロズルトも美味しいとは思わなかったし、諜報部の2人も顔を顰めて食べてた。

買っていったところで文句は言われないだろうが、それにしても量が多かったような気はするが。

まぁ、見なかったことにしよう。

共犯にはなりたくないのでね。



ご覧いただきありがとうございます。


……ストックが無くなりました。

毎日アップできるように頑張っていますが、追い付かない現状です。

更新頻度は下がると思いますが、気長に付き合って下さると嬉しいです。

ついでに評価もしてくれると嬉しいです。

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