表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界に1人だけの魔物学者  作者: べるりん
迷宮案内人ローラン
5/26

古代の大百足


古代百足(アースロプレウラ)の巨大な口から強酸が噴出する。


「っきゃ!」


俺はナタリアの肩を掴み後ろへ突き飛ばす。ナタリアはバランスを崩し尻餅をついた。


その直後、先ほどまでナタリアが居た位置に強酸の雨が降りかかる。


ほどなくしてジュージューと地面が沸き立つ音が聞こえてきた。


さて。少し状況を整理しよう。


前方には7mほどの大きさの強酸持ち巨大ムカデ。

穴から半身を乗り出して俺たちに襲い掛かろうと睨んでいる。

対する俺たちは魔力の残量が少ない初心者魔導士と死体という重い枷を背負っている。



あれ?これ詰んでね?



…いや思考を放棄するにはまだ早い。こういう時は逃げの一手に限る。


「ナタリア、立てるか?」


「っはい」


「魔法はあと何回使える?」


「1回は確実に打てます。2回は魔力切れで気絶しちゃうかも…」



瞬間、古代百足(アースロプレウラ)の脚がワナワナと動き出した。

飛びかかりの合図だ。


「…作戦会議中に攻撃するなんて悪い子め。」


俺は剣を構え、いなす準備をする。


「ナタリア。閃光(フラッシュ)の準備を。」


俺が言い終わる直前、奴が飛びかかってきた。


想像してみて欲しい。顔のサイズが1mぐらいのムカデが全力で噛み付いてくるところを。


「たまったもんじゃないな。」


俺は剣で受けつつ、相手の勢いを活かして横の壁に叩きつける。


体勢を崩した古代百足(アースロプレウラ)の大量の足の一部を切り落とす。


古代百足(アースロプレウラ)は怯んで後退りする…訳もなく口をガバッと開けた。ムカデの口の奥から特殊な管が見え隠れする。


「マズイっ」


俺は咄嗟にナタリアの方へ飛び出してナタリアの横に転がる。


「キャっ」


先ほどまで俺の居た場所は酸の海。

少しでも遅れたらと思うと冷や汗が出る。


古代百足(アースロプレウラ)が顎をキチキチと鳴らした。


俺は死体袋を思いっきり後ろへ放り投げる。

すまんなペンタクール。


「数秒欲しいな。」


身体が軽くなった。

俺は剣を振り顎に引っ掛ける。そのまま顎の一部を切り落とした。

緑色の体液が飛び散る。ようやく古代百足(アースロプレウラ)が少しのけぞる動作を見せた。


今しかない。


俺はなけなしの魔力を腕に込める。これで俺の魔力はほぼゼロになるだろう。



「ナタリア、左目を頼む。」


「左目…?…あ!了解です。」



「太陽の神よ。永劫に近きこの闇を、今払わんとする光を授けたまえ。閃光(フラッシュ)


閃光(フラッシュ)


俺とナタリアの魔法が木霊(こだま)する。戦闘に夢中で今まで気づかなかったがナタリアは無詠唱で魔法を唱えることができるようだ。かなり高度なこととされている。



俺は右目に、ナタリアは左目に。まるで太陽のようにギラギラとした光が放たれた。


キチキチと顎を鳴らしながら古代百足(アースロプレウラ)は後ろにのけぞる。十数秒ぐらいは目が見えないはずだ。


「今だ!!!」



俺は投げ飛ばした袋を拾い叫ぶ。



「にっげろ~~~!!!!!!」







俺たちは全速力で一本道を引き返した。












評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ