表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
電子書籍化【完結】破滅ルートしかないヤンデレ攻略対象の妻になりました  作者: 綾雅「可愛い継子」ほか、11月は2冊!


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/59

11.この男、物語のバグじゃない?

 公爵家の跡取りって、忙しいんじゃないの? 私と部屋に篭ってる余裕があるなんて、想定外だった。


「仕事? この部屋に運ばせるよ。安心して、レティの姿を見せる気はないから」


 レオンティーヌ、縮めてレティらしい。愛称だと、お父様の呼ぶレオンが一般的だ。そう伝えたら思わぬ答えが返ってきた。他の人と同じ呼び方は特別感がなくて、嫌なんですって。


「レティ、まだ怒ってるのか?」


 ぷいっとそっぽを向く。勝手に乙女のファーストキスを奪ったくせに、下着を返した程度で許されると思わないで! 暗器もないし、手足は拘束されたまま。どこに機嫌よく振る舞うご令嬢がいるのよ。まあ一般的なご令嬢は、暗器なんて持たないでしょうけど。


「レティが俺を見ないなら、その目をくり抜……」


 ぐるんと首を回して、彼と目を合わせた。危ない、目をくり抜くって言いかけていたわ。病んでる系でも、一番やばい種類かも。大切にするけど閉じ込めるタイプと、傷つけてでも自分に縛り付けるタイプがいる。


 間違いなく、シルは後者ね。だってバッドエンドだと殺されちゃうのよ、私。それも惨殺と表現されるほど、グロい方法だった。さすがに乙女ゲームなので、遠回しに表現されてたけど……バッドエンドの最後のスチルは、ヒロインに首輪を装着するシルだった。


 赤く染まった床と私の指先や髪がちらり……背景の一部になってたっけ。失礼にも程があるわ。いっそエンドロール風に「悪役令嬢レオンティーヌは、その悪行から命を失った」程度の表現でいいじゃない。背景で死んでるって何よ。しかもボカシ入ってた。


 絶対にバッドエンドは避けないとダメね。ヒロインがちゃんと動ける転生者なら大歓迎よ。王子ルートを選んでくれるのが最高だった。私はその間に、シルから逃げる。


「ねえ、レティ。悪いことを考えない方がいい。俺もいつまで紳士的でいられるか、自信がないんだ」


「そ、そうね」


 紳士的? か弱い乙女を拘束して監禁、キスを奪う男のどこが……ごめんなさい。表現に事実誤認があったわ。か弱い乙女の部分を訂正してお詫びしたい。可愛い婚約者ならギリセーフよね。


「やっと口を利いた。あのまま黙っていたら、嬌声を上げさせこじ開けようと思ったけど」


「ちゃんと話すわ」


 目を逸らしたら抉られ、無言だと襲われる。大丈夫、理解した。きちんと応対しながら、隙を見て逃げる算段を……無理ゲー。何これ、悪役令嬢の手に余る攻略対象じゃない。


 絶対に物語のバグだと思う。早くヒロインを出して、強制力で修正してよ!


「聞きたいことがあるの」


「答えられることなら」


「どうして私と婚約したのかしら。それもダイアモンド鉱山を差し出してまで。おかしいじゃない」


 持参金を払うのは嫁ぐ側、その額によって受け入れる婚家の対応が変わるのが一般的だった。貴族同士の結婚は、政略の意味しかない。恋愛結婚なんて、伝説になる程少なかった。うちの両親とか、ね。


「ああ、ごめん。ダイアモンド鉱山では足りなかったな。それで気を悪くしたのか。レティには、もっと価値がある」


 どうしよう、この人。言葉が通じるのに、話がまったく通じない。こういう人種と会話を成立させる方法、どこかで学ぶべきだったわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ