異世界ウォールストリート
公証人とは、その契約行為が、法律に従って正しいかどうかお墨付きを与える役目を行政から任された、いわゆる国家権力だ。
私は王国の法律に精通し、街の秩序を保つこの職務に誇りを持って務めている。
しかし、目の前に立つこの女は。
「しょうひたいしゃく…?」
「ーーーあ、これは日本特有の言葉だったわね。えーと、融資…と言えばわかるかしら?」
融資。つまり貸付のことを言っているのだ。もちろん言葉としての融資は知っている。
しかしお金の貸し借りとは、親しい間柄の人間同士が助け合いの精神でお金を融通しあうことであって、ましてや…。
「おまえは見ず知らずの他人に金を貸すと言うのか?」
「あなた文字が読めないの?そう書いてあるでしょう」
分からない。
貸付を事業にするなど聞いたことがない。
それでも、法的に禁止されているものではない。
「…ミュール王国シエンナ辺境伯領公証人として、ここに『ビアンカアンドカンパニー』の設立を認める。…ちなみにアンドカンパニーとはなんだ?」
「私、ビアンカとその仲間たちってとこかな?」
「仲間いないじゃないか。1人会社だろう」
「うるさい。これから増やすんだからいいのよ」
これは、ミュール王国の田舎町を足がかりに、現代日本のビジネスウーマンが異世界で成り上がる、金融エンターテイメントである。
私は王国の法律に精通し、街の秩序を保つこの職務に誇りを持って務めている。
しかし、目の前に立つこの女は。
「しょうひたいしゃく…?」
「ーーーあ、これは日本特有の言葉だったわね。えーと、融資…と言えばわかるかしら?」
融資。つまり貸付のことを言っているのだ。もちろん言葉としての融資は知っている。
しかしお金の貸し借りとは、親しい間柄の人間同士が助け合いの精神でお金を融通しあうことであって、ましてや…。
「おまえは見ず知らずの他人に金を貸すと言うのか?」
「あなた文字が読めないの?そう書いてあるでしょう」
分からない。
貸付を事業にするなど聞いたことがない。
それでも、法的に禁止されているものではない。
「…ミュール王国シエンナ辺境伯領公証人として、ここに『ビアンカアンドカンパニー』の設立を認める。…ちなみにアンドカンパニーとはなんだ?」
「私、ビアンカとその仲間たちってとこかな?」
「仲間いないじゃないか。1人会社だろう」
「うるさい。これから増やすんだからいいのよ」
これは、ミュール王国の田舎町を足がかりに、現代日本のビジネスウーマンが異世界で成り上がる、金融エンターテイメントである。
第1話 公証人マルコ
2022/06/29 03:44
(改)