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「ざまぁ」と「恋愛ジャンル」って実は相性悪いのでは?

作者: 寒天

「キミとの婚約を破棄する以下略」

「婚約破棄? 喜んで受けましょう。ですが私との婚約が無くなると以下略」


 後の展開は大体わかりますね?

 わからないという人は「もう遅い」とか「婚約破棄」とか「悪役令嬢」って単語で異世界恋愛ジャンルに検索かけて短編幾つか読んでくればわかるようになります。日間ランキングを適当に幾つか漁るでも可。

 ちなみに、簡単に知りたければこのエッセイの作者名から作者マイページに飛び、そこの『作者目線で「婚約破棄する王子様」について語ってみたい』を開けば簡単に解説しております(ダイマ)。


 ということで、今回のお題はその手の恋愛ジャンルで定番と化した


「『理不尽に婚約破棄を仕掛けてきた婚約者に反撃して徹底的に叩き潰す』という展開、いわゆる「ざまぁ」って恋愛ジャンルと本当に相性良いの?」


 です。


 いつもは作者目線で~ってタイトルでエッセイ書いているのですが、この手の話は(とても同一のものと言い張ることができないおちゃらけを除いて)書いたことがないので、今回は一読者として感じたことについて書こうと思います。


――――――――――――――――――――――――――――――――


 と言うわけで、予習済みの方、あるいはなろうユーザー歴の長い方には言うまでもありませんが、今や『異世界恋愛ジャンル』と『ざまぁ』の組み合わせは定番と言っても過言では無いでしょう。

 カレーと福神漬け、苺とケーキ、恋愛ジャンルと婚約破棄からのざまぁってな具合です。


 ですが……本当にこの組み合わせって相性良いのでしょうか?

 どういうことかと言いますと、まあ恋愛系ざまぁって要するに


①浮気相手を引き連れた婚約者男から謂われの無い罪で婚約破棄を宣言される

②主人公令嬢が鮮やかに無実の証明と婚約者男の不誠実さを追求する

③ほぼ無策だった婚約者男が思わぬ反撃にアワアワしているところに婚約者男を超えるスペックのイケメンが登場

④イケメン、フリーになったのならずっと好きでしたと主人公令嬢に求婚。主人公令嬢は喜んでと手を取る

⑤幸せになる主人公令嬢とは対照的に(元)婚約者は浮気相手と一緒に没落の一途を辿る


 ってのが基本パターンなわけです。③と④が入れ替わって浮気者の婚約者男を叩き潰す役割にイケメンも参加するってパターンもありますが、大体こんな感じ。

 短編だと本当にこれくらいで収まり、長編だとその場で反撃とは行かずにイケメンと共に力を蓄えるなり婚約破棄宣言までが長かったりするわけですが、大体このパターンが基本だと思います。


 私、読み手としては結構これ好きなんですよね。

 自分で書くとどうしても婚約者男のアホ思考が理解できずに匙を投げてしまうのですが、気楽に読む分には実に楽しい。愚か者が自滅する姿は何とも言えない喜びを感じさせてくれます(性格が悪いって言わないで! 多分これがこのテンプレの正しい楽しみ方ですから!)。


 が、ですね。冒頭に書きましたこのアホ婚約者に焦点を当てたエッセイ『作者目線で「婚約破棄する王子様」について語ってみたい』を書いて自分の考えを纏め、また感想を頂くことで自分には無い発想を取り入れた結果……「ん?」となりまして。

 何か巨大な力に喧嘩を売りそうなのでこれを言うのは少々怖いのですが……『ぶっちゃけ、これ恋愛してなくね?』って疑問を抱いてしまった次第です。


 もちろん、主人公の婚約者だった男を超えるスペックを持つイケメンとのラブストーリー、という意味では恋愛しているでしょう。

 ですが、これどう見ても『愛に裏切られた女が新しい愛を見つける』的なものではなく『裏切り者を徹底的にすり潰すための道具として、勘違い男の自尊心をへし折れるハイスペックイケメン用意しました』ですよね。

 自分を捨てた男に対して「アンタなんていなくても私には彼がいるのよ」って見下すためのアクセサリー扱いですよね。

 本題は新しい恋人との恋愛~ではなく、如何にして「ざまぁするか」ですよねこれ。


 円グラフにしたら95%が「ざまぁ」で、その他の中に申し訳程度に恋愛要素入っているだけですよね。


 その恋愛要素に関しても、仮にも婚約者だった男には一切見せない笑みを新しいイケメンにはホイホイ見せたり『あのアホの婚約者だったから黙っていたけど、本当はアナタの事が好きだったの』と知らないところで好感度MAX状態で恋愛パートほぼスキップだったりってのが多いですし……これ、恋愛ジャンルですよね?


 前エッセイの中で私は「ざまぁ」要素を使うと掴みの性能が高すぎて『恋愛では無くざまぁを目当てにやってくる読者が増える』と主張し、それを『焼き肉(恋愛要素)屋に来た菜食主義者(ざまぁ目当て読者)』と表現しました。

 ですが……よく考えたら、これそもそも焼き肉屋の看板掲げているだけで中身はベジタリアン向けのサラダバーだったのではないかと思ってしまいました。何かごめんなさい。


 ちなみに、「小説家になろう」における恋愛ジャンルの定義は異世界でも現実でも『恋愛を主題とする』となっています。


 確かにざまぁの根幹は大抵婚約者の浮気ですので、全体を通して恋愛がらみの話であると言えば嘘では無いかもしれませんが……主題は絶対、浮気者で裏切り者のアホ婚約者を理論財力権力超能力その他あらゆる方法で徹底的に叩き潰す「ざまぁ」ですよね。


 そんな思いを抱いてしまい、私は「もう遅い!」とか「ざまぁ」とかを掲げている作品って、もしかして恋愛ジャンルじゃなくてハイファンタジーかヒューマンドラマ辺りの方が適切なのでは無いか……と思い、今回こうして短いですが自分の考えを書かせていただきました。


 いや本当に、言い訳では無くこの手の「ざまぁ」系は読む分には好きなんですよ?

 ただ、作者さんが書きたい本題って本当に恋愛なのだろうかってところに大きな疑問を抱えてしまっただけで……。


 もしこのテンプレを踏襲して恋愛を主題とした物語を書くつもりであるのならば、一度考えてみて欲しいのです。

 その物語の主役、恋愛ですか? ざまぁすることに話の九割裂いていませんか? 恋愛描写がざまぁ関連の添え物になってないですか? ざまぁの快感が強すぎて恋愛とかどうでもいいって感じになってませんか?

 私も末席とは言え書き手側の一人です。ですから人気がある、アクセス数が稼げるワードを駆使してポイントを稼ぎ日間ランキングに登るところがスタートライン、そこにたどり着けなければ内容の善し悪しなんてほとんど誰にも知られないまま消えていくだけであるってことはよく知っています。

 ですが……本当に、恋愛ジャンルって場所で戦う必要、ありますか……?


 逆に「ぶっちゃけ恋愛云々よりざまぁが書きたいです」って作者の方がいる場合、別に婚約破棄から始まれば恋愛ジャンルではなければならないなんてルールないはずですし、いっそファンタジージャンルに移った方が書きやすいんじゃないかなとも思います。

 無理してイケメンとの取って付けた恋愛描写というか、恋愛ジャンルへの最低限の礼儀みたいな感じでブレーキかけてしまっているように感じられる作品もいくつか見たことがありますし。


 というわけで、以上、一読者としての意見でした。

とりあえず謝っておきます、ごめんなさい。

異論反論全力で受け止める所存です。


何か感じるものがあれば感想や評価(下の☆☆☆☆☆)をいただけると今後の参考になります。


本文中で紹介した

『作者目線で「婚約破棄する王子様」について語ってみたい』

を見たことが無いと言う方は、せっかくなので以下のURLかリンクより見てくれると嬉しく思います。


https://ncode.syosetu.com/n9671gq/


現在連載中の恋愛要素ゼロ、獣臭さしか感じられないハイファンタジージャンル作品も良ければ見に来てください。


魔王道―封印から復活したら元配下の子孫達が文明も肉体も超退化していたので進化させた。いざ戦うとなったら何故か魔王を殺した人類も退化していた


https://ncode.syosetu.com/n5480gp/

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― 新着の感想 ―
[良い点] 『ざまぁ』それ自体は、けして蔑まれるべきものではない、と思うのです。 導入としては、とても良いツールであるとは、思うのです。 [一言] 『決別』という決心を快く思う人々の心には、けして汚濁…
2021/11/21 17:08 退会済み
管理
[一言] なんというか読者が書きたいものを好きなように書き続けた結果が今のランキングの流行なのはわかるけど、 『追放もの』と『悪役令嬢もの』の間の子といえる『婚約破棄もの』の大喜利ばかりになるのも味…
[良い点] ざまぁのお話は確かに恋愛が主題になってはいないし恋愛小説としての機能はないと思います。 [気になる点] しかし現状、なろう読者で純粋な恋愛小説を読みたがる層は厚くないのでは、とも。他のツー…
感想一覧
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