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同志、彼我の状況は?

しばらく更新できずごめんなさい。今日からまた更新を続けていこうと思います。 2020/1/08

 敬礼をするミハイロフを見届けて俺は、適当な岩に腰掛けた。


 ……さて。どうしたものか。


 部下がいた手前、なんとか平静さを保てたが、いざこうして考える時間ができると、あらゆることが頭をよぎる。

 まず恐れるべきは、兵士たちがパニックを起こし、勝手に行動することだ。これだけは絶対に避けなければならない。


 次に、現状の把握。ここはどこなのか。ベラルーシなのか、トランシルヴァニアなんのか、ドイツなのか、イタリアなのか、調べなければならない。現在地を割り出したら、即座に対策を練り、舞台の再編成をしなければならないだろう。


 並行して、祖国へのコンタクトもしなければならないが……、果たして長距離を交信できる機材はあるだろうか。


 それに、俺には個人的な責務が残されている。

 ウシャコフの勲章を、彼の息子の元へと送り届けねばならない。これはウシャコフとの約束でもあり、私自身に対する使命なのだ。


「司令、大まかにですが、現状の確認がつきました」

「早いな、ミハイロフ」

「実は、司令が目覚められる前から自軍の点呼はさせていたもので」

「そうか。さすがだ、同志ミハイロフよ。きっと、同志スターリンもお喜びになるだろう」

「身に余るお言葉……。して、こちらが我が軍の状況になります」


 そうして俺はミハイロフから1枚の紙を手渡される。

 そこにはこのような記述がされていた。


「兵士:30万人 火砲:1万門 戦車(自走砲含む):6千両 航空機:3百機 自動車:5千両 その他非戦闘員5千人」


「いくらか減ってはいるが、おおよそ編成時から変わってはないようだな」

「幸いにも」

「本国への通信は?」

「何度も繰り返していますが、全く応答がありません。それどころか、軍民問わず一切の無線通信が無いようです。これは異常事態です。ドイツ軍の新兵器でしょうか」


 ミハイロフは落ち着きなく問う。


「落ち着き給え、同志ミハイロフ。他の同志たちを見よ。みな落ち着き、パニックになっている様子はない。さすが偉大なるソヴィエトの聡明なる兵士たちだ。君も見習い給えよ」

「申し訳ありません、同志チェルネンコ」


「混乱と言えば、食料はどうなっている」

「3~4日は持つかと」

「ウォッカは?」

「航空機用のアルコールも含めれば、それなりには」

「よし、聡明な同志たちに振る舞ってやれ。それとミハイロフ、航空機があると言ったが、それは稼働できるのか?」

「はい、損傷のあるものを除けば、大方、稼働可能です」


「よろしい。滑走できそうな場所を見つけ次第、四方を航空機に偵察させろ。動くも動かぬも、まずは情報次第だ」

「了解しました、同志チェルネンコ。遅滞なく、速やかに実施します」

「よろしく頼んだよ。祖国と共産主義のために」

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