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「ちょ、ちょっと待ってよ!物語が……白雪姫が……」
悪い魔女がリンゴを売りに来るのに白雪姫が居ないんじゃ…と言う事はやっぱり私が白雪姫設定?
「白雪姫って…コイ、白雪姫知ってるのか?」
「え?」
普段ナナセから話し掛けられる事も答える事も無かったけど思わず視線を向けた
「コイお姉さんは白雪姫を知ってるのね?」
「あの、駆け落ちお姫様を覚えてるけど、自分の事は名前しか覚えて無いと…」
「エヘヘ…」
サーシャちゃんとシークが私を見ないで呟く
ニーチェだけは私に満面の笑顔見せてくれたけど…
皆、白雪姫を知ってるの?
しかも駆け落ちお姫様って…もう王子様とハッピーエンドになったの?
もう…何が何やら理解不能
時間が無いと7人は炭鉱の仕事に行ったけどイルーナ君が私に言った
『いいですか、僕達が仕事に行ってる時は誰が来ても扉を開けちゃ駄目ですよ?今、危ない商人が街で悪さしてるらしいので』
危ない商人……現代で言う悪徳セールスみたいなもんかな?
それにしても…
あの後、少し白雪姫について皆が教えてくれた
この国には大きなお城があって、そこには綺麗なお姫様が居たらしい…でも、そのお姫様は継母の強い妬みに耐えかねてお抱えの狩人と恋に落ち城から逃げたらしい。
その継母が今は権力を握ってるらしいけど、白雪姫に対してまだ執着心が有るらしく、この街にも度々兵隊が来ると言う…
「うーん……微妙に半分有ってるけど、若干違うなぁ…」
第一、白雪姫が結ばれるのは狩人じゃない、王子様
狩人は白雪姫を逃がしてあげて継母に痛めつけられる役だ
私の夢だからご都合主義かも知れないけど、なら私はシンデレラの王子様と恋に落ちたい…
名前は白雪だけど、絵本で恋をしたのはシンデレラの王子様だ…
小さい時に名前の改名を親に訴えた所、厭きられた
日本語ならまだしもシンデレラにしたいなんてって
小石川シンデレラ…
うん、素敵だと思うけど白雪も愛着持ったから白雪姫も好きになった
だけど……
「はぁ……本当にいつ戻れるのか……」
幸せは徐々に不安に変わる…と言うけれどそうかも知れない
この頃自分がわからなくなってきた…
私は本当に小石川白雪なのか…って事
もしかしたらこれが本当の世界なんじゃないのかって…私が居る本当の世界
なら……私は誰?