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「どうしたの?うまくいってないの?」
「うん……浮気されてる気がするんだよねぇ……はぁ、アイツとももう終わりかなぁ…」
「…………」
呟いて上司に呼ばれて居なくなる梨子の背中を黙って見送る
私には浮気とか理解が出来ない
好きで付き合うと言う事は運命の出逢いをするのだから行着く先はバージンロードじゃないの?
梨子に言っても
『それは男と女は色々ある』
『恋は付き合ってからが本番で、物語のように直ぐにハッピーエンドにはならないよ』
と厭きれられる
会社が定時になって梨子は重い足取りで、その浮気してるらしい彼に会いに行った
もう別れるつもりなら会わなくても良いのに…別れの儀式とかやらないといけないのかな?
本当、現実の恋は面倒だ
帰り道で、いつも占いをやってるお婆さんの横に誰か座ってた
あんな人居たっけ?
黒のローブを被って正におとぎ話のお婆さんって人を見るのが私の日課の楽しみだった
一瞬でも、お伽の国にトリップした気分になれるから
だから、その人が凄く気になって近づいてみるとお婆さんと同じ様にローブを被ってた…でも、残念な事に色は麻の薄い地肌色……
お伽の国っぽくないな、残念
「どうぞ?見ていって下さい、お嬢さん」
掛けられた声は思ったより若い男性だ
でも深く麻のローブ被ってて顔は見えない
それに見てって言われても…
その人の前のゴザみたいな上にはガラクタしか無い
ネジとか、クリップ……クシャクシャな折り紙
この人、本当に商売してるつもり?
「…………」
隣のお婆さんもいつも通りだけど……私ならこんな人がピタッと寄り添って小判鮫みたいに店広げたら離れるんだけど
「どうぞ、見ていって下さい」
若い男性は同じ事を繰り返す
どうしよう…さっさと離れるべきだったのに思わず長居をしてしまった……
こうなると何か買わなきゃと言う気持ちになるのが小心者の宿命
仕方なく腰を下ろしてガラクタをよく見る
何か買えそうな物はっと……。
「あ、可愛い…」
よく見ると端の方にアンティーク調なアクセサリーがある
思わず声に出す程私の好みだ
その中でシルバーの指輪を手に取ると綺麗な硝子玉が3つくらい付いてる
思わず指に嵌めるとピッタリのサイズにまた運命を感じる
「これ、いくらですか?」
まさか、この露店で言うとは思わなかった台詞を口にすると、驚く値段を提示される
「……見ての通りただの硝子玉の指輪です、3つなので30円でどうでしょう?」
「は?30万!?」