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「戻った姿は見てたけど」
あんま記憶にねぇな。
その後の事を考えてたから…この城に来るかどうか
「金貨王子の心はそれどころじゃなかったものね…それに他の女なんて興味無かったもんね」
心を読まれてるみたいでムカつくし、やっぱりコイツは苦手
口煩い乳母ソックリ
「…何で居るんだよ?」
「はぁ?居ておかしくないでしょ?国が近隣の適齢期の女性を招待されてるんだから」
そうか、適齢期と言われればそうなるのか
この前まで小人だったけど今は18だもんな
「お前、アリスと結婚してーの?」
「それ本気で思ってるの?」
乳母に返しに俺の心と同じだと思いちょっと安心する
確かに金には煩いけどさっきの女みたいに地位とか名誉には興味無さそうだからな
「だよな…じゃあ何で…」
「さっきも言ったでしょ?招待されたって…まぁ、ちょっと違うのはアリス王子から直接招待されたんだけどね」
「アリスから?」
「そうよ、コイお姉さんを暫く休ませる時と一緒にアリス王子直筆の伝令で届いたわ」
「………」
「最初に伝令が来た時はどういう事かと思ったわよ、コイお姉さんは帰って来ないし金貨王子は金貨置いていかないし!最悪金貨は後で良いと して、何でコイお姉さんが戻って来ないのよ?こっちはイルーナと結婚させたいのに!」
「お礼の金貨は後で……」
「馬鹿っ!本気で金貨の話してないわよ!何でアンタはノコノコ1人で帰って来たのよ?しかも私達になんの報告もなく城に帰っちゃってさ!そんなにアリス王子にコイお姉さん取られたのがショックだったの?」
「煩いな!さっきから…」
どいつもこいつも同じ事を言いやがって
「私わね?コイお姉さんが幸せになれば誰が相手でも良いのよ。そりゃ1番良いのはイルーナと結ばれてくれたらいいなって思うわよ?いつでも近くに居てくれるし。でも本当に好きな人には1番幸せになって欲しいと思うわ。それが誰とだろうと、何処でだろうと」
「そんなのわかってるよ、だから俺は…」
アイツが望むなら嫌だけど身を引こうと思ったんだ
だけど乳母の言葉にやっぱり無理だから行こうとした俺の気持ちがまた揺らぐ
「馬鹿な癖に変に考えるから混乱するのよ…だからアリス王子は私達を招待したのねぇ。」
「は?」
「…いいから!アンタは変に大人ぶらないで自分の気持ちに正直に動けば良いの!アリス王子もコイお姉さんに1番幸せになって欲しいのよ、それからアンタにも。どこに行こうとしてたのか知らないけど広間に向かいなさいよ」
乳母は 面倒くさそうに言うと長い髪を手で払う
「…もしかして俺の事探してたのか?」