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「あぁ、腑抜けた外交されてもこっちも困るからな…本当は優秀なのにひねくれてやらない時に戻られても困るからな…」
「うるさいな…ったく!」
「行ってらっしゃい~」
凄く不機嫌な顔をしたけどカインはやっと馬小屋を出て行く
だって本当の事だろ?
勉学も武術も剣術も昔から本当は出来るのにいつもアークより上に行かない様にしてたのなんか気付いてるよ、あんなに上手く兄を立てられるなんて逆に難しい。
『面倒くさがりな王子様』を演じてたカインが戻って来たら自分から国の話に参加し始めた事は王も王妃もビックリしてたけど、アークは俺に言った
『やっと本気で相手してくるかも知れないな、楽しみだ』って笑って。
大好きな兄を立てるのは第2王子としては優秀だろうけど俺達的にはその才能の開花が見たかったから嬉しかった。
それもこれも好きな女の為に頑張ってたんだろうけど。
「俺も戦ったら負けちゃうかもな、リュウ…っ痛!」
リュウの鬣を撫でようとすると俺の手を拒否るように首を振られ手を弾かれる
「お前もカインが好きだなぁ~雌馬だもんな」
まぁ…帰りはお前の大好きな王子だけじゃないと思うから覚悟しとけよ?
「あら!そこの借金男っ!こんな所で何してるのよ?」
「あぁ?」
リュクエと別れて広間に戻る途中にまた変な女に足留めを食らう
ふざけんなよ…急いでるのに
しかも借金男と言われて返しも威圧感を出したが相手は全く動じない…
つか今度はどこの女だ?
下手に後腐れが残る女とは関係は持ってない筈なのに
クソッこんな時にも胸が痛くなる
そんな相手なんか作らなければ良かった…
アイツとアリスに何かあったと思った時の衝撃は自分の事ながら恥ずかしい
アイツが俺の事を好きだったら…許せる事かって考えたりもしたけど、先ず好かれねーなって考えに落ち着いてた。
今の俺が逆の立場だったら…首筋の痕で取り乱してるんだからさ
「相変わらず口が悪いわね、本当に王子なのか疑いたくなるけど」
「お前誰だよ」
「は?」
「つか、急いでるから退け」
ヤっただけの女なんて覚えてねーんだよ
「あんなにお世話になった人物に対して誰だよはないでしょ!この金貨王子!」
「……」
「あ、正式には金貨王子だった奴ね、まだ貰って無いんだから」
「お前、小人の乳母?」
「サーシャよ、その呼び名で覚えてるのはわかったけど、そんなに気付かないの?」
『 金貨王子』の台詞と着ている黄色のドレスでようやく思い出した