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馬小屋と言ってもお城だ、そこら辺の街の家より大きい
建物の中には沢山の馬が居る
そんな場所で正装した美少年は凄く目立つ
「カイン」
愛馬の頭を撫でてるカインの後ろ姿に声を掛けると振り返った
兄弟だけどカインは中性的な容姿だから小さい時は良く姫だってからかわれたっけ?
「なんだよ、お前も帰るの?」
「本当に良いのか?」
「何がだよ」
「まさかと思うけど姫君の首筋の痕に傷付いたとか?」
「っ!お前知って…」
「え?まさか本当に?それが諦める理由なの?そんな事で?!」
カインの顔は明らかに動揺してるけど、それはこっちもだ
はっきり言って彼女は隠してたつもりだろうけど女性を沢山相手してきた俺やカインは直ぐに気付く
彼女を広間で見付けた時から気付いてたからカインも下りてきて…いや、上に居る時に気付いたか?
でもそんな事で?
いっちゃ悪いけど女遊びをしてきたカインがあれくらいで動揺するって…
「なんだよっ!悪いかよ…俺なんて接吻もしてなかったのにアリスにはあんな事許すんだって…解ってるさ、今まで俺がしてきた事を考えたらそんな事って思うかも知れない…でもやっぱり本物はかなりここに来る」
「………」
胸を抑えて苦しそうにするカインに俺の頭の中は疑問が増えていく
接吻もって?
「えっと…カイン」
「なんだよ…」
「お前達まだ…その…」
こんな事を戸惑いながら聞くのなんて初めてだ
それくらい俺達には緊張も何もなく話してた内容だから
「別に何もしてなくは…ない」
「だよな?そうだよな…お前だし、そんなに惚れた相手なら尚更」
「頬に軽くしたり抱き締めたりはした」
「………」
「だけど全部はしてない」
「………」
つき合ってないにしても口にくらいしてるかと思ってた
頬に接吻なんて子供の挨拶じゃんかよ
いくら小人達の家に住んでいたって言ってもカインは別の場所で寝てたらしいし、色々2人で旅してたからそう言う機会は絶対にあったと思う。
第一、彼女は絶対にカインが好きだ
俺じゃなくても誰が見てもカインを想ってるけどカインと別の意味で恋愛慣れしてないしカインはこれまたあまりにも真剣で接吻も出来てないと…
「アイツが嫌がる事はしたくなかったし…」
「だからあの首筋見てノコノコ城に帰るって決めたのか」
「だって…俺がどんなに口にしたいって言っても駄目だって言ってた奴だぞ?…あんな場所に…」
確かにあの位置は昼間のドレスじゃなくイブニングドレスくらいじゃないと付けられない
だからカイン的にはアリス王子とは最後までしたと思ってるのか。