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結果的に予言の姫だったのかも知れないけどそうなると占いに矛盾が生じる
予言の姫とはカインは結ばれて共に国を平和に歩むだろうと言われてるから俺が今、見てる光景は有り得ない。
「俺、リュウの所行ってくる」
「はぁ…えっ!?行っちゃうのかよ?しかも馬小屋?」
カインが踊らないと解ると引き潮の様に女の子達が周りから居なくなる。
曲が流れる中、次々に相手を見つけてく姿は凄く滑稽だ
本当…女ってしたたかだよぇねぇ。
少しでも位の高い相手を見つけては声を掛ける女の子達
そこに愛はないだろう。
でもこれが現実だ
王家なんて特に政略結婚ばかりで自由な恋愛が羨ましい時もあったけど、身分の無い女は身分に執着してる奴ばっか。
アリス王子の気持ちが理解出来た反面、それなら最初から政略結婚した方が面倒じゃなくていいとも気づいた。
遊ぶ女の子なら誰でも良いから、変な駆け引きも要らない後宮女達の方がよっぽど楽
カインもそうだったのに…今では好きな人が違う相手とダンスしてるの見ただけで嫉妬しちゃってるし
凄く可愛いと思う反面羨ましい
「お前まで来なくていいのに」
「…カインさぁ、何しに来たつもり?」
広間を出ると一気に人が 居なくなる
声が響く廊下を歩きながらカインの背中を見ながら問う
「………」
「まさか本当にお祝い的な気分で来たんじゃないでしょ?そもそも何で彼女を…」
「カイン王子様っ!!」
城に付いて来たら面白い物が見れると思ったら修羅場になる事も無くこのままではリュウの所に行っていつものようにブラッシングを見せられてしまう。
最悪そのまま帰ろうとするかも知れない。
そんなの面白くないしそんなカインは正直見たくない
何も起こらないなら理由だけでも聞きたくて声に出すと後ろから甲高い声が聞こえて振り返ると青いドレスを着た女の子が独り…そう、周りに従者達は誰も居ない
平民の子?
それにしても身なりが良すぎるし押しが強い
「………」
「どこに行かれるのですか?ダンスは踊りませんの?」
「………」
「私っ、王子様と踊りたくて思わず後を追って来てしまいましたの」
俺は無言のカインと活気のある女の子を見比べる
普通の女の子なら王族にこんなに食い付けないからかなり身分が高いんだろう
でも同じ王族なら争いになる可能性もあるから…公爵辺りの身分かな
「君、名前は?」
このままじゃカインが無視しても着いてくると判断してさっさと広間に戻って貰う事にした
「あっ!ご紹介が遅れましてすみません。私はシンデレラ、ノワール公爵の娘ですわ!」