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「本当に判りやすい顔するんだから」
「…それさっきも言われちゃったんだけど」
「へぇ、誰に?」
「…おいっ!いい加減この雰囲気なんとかしろよ?王子」
短時間で言われた事に真実味が増したと思ってる所にフワッと香りがした
勿論、その辺の酔払いがいちゃもんつけてきたわけじゃない…ちょっと台詞は似てるけど。
顔を上げるとアリス王子の横に居る人物の香り
「素直に嫉妬してるって言えば良いのに」
「煩いぞ、リュクエ!」
さっきから居たのは知ってるけど…何となく考えない様にと言うか視界に入れない様にしてた
本当に私の行動は支離滅裂
「それは自分も含まれる言い方になるけど?ノクターン王国の王子様」
「あのなぁ!ここで王子ならお前だろ?変な屁理屈言いやがって…周り何とかしろよ…煩い」
「カインも煩いけどね」
アリス王子の発言に女の子達がヒソヒソ話してる…あー、どんな事話してるのかな?なんて考えないでも解るよ。
淑女組は知ってたと思うけどカインが王子様だって広まってく
しかもノクターン王国の第2王子だって。
バカ男め…またライバルが増えちゃうじゃないか
「遠巻きで見られるくらい我慢出来ないと…全く何のために 来たの?口ではそんな事言って本当は注目されたくて正装で来たの?それとも便乗してお姫様探しとか?」
「お前…」
もう1回聞きたいけどアリス王子ってこんなに意地悪な性格だったのかと
勿論、陰湿じゃない意地悪だけどカインを見ながら笑ってる姿が楽しそう
思春期男子アルアルの好きな人程苛めちゃうって事で良いのかな?
リュクエさんもカインが怒ると嬉しそうだけど…もしかしてかなりの弄られキャラなのかな?
「本当に可愛げが増えたよね、リュクエ王子」
「ですよねぇ~やっと年相応というか…俺も反応がイチイチ面白くて今日は付いて来ちゃいましたよ。勿論女の子には不自由してませんのでご安心下さい」
「そうだね。でも最初からリュクエ王子も招待してますよ」
「アリス王子目当の女の子達が俺に惚れたらどうしようって悩んだんですけどねぇ…そしたら面倒じゃないですかぁ」
まるで国の王妃選びに参加してる女性が全員自分に落ちるみたい…かなりの自信家だ。だけど悔しいけどそれだけのパーツを持ってるからなんとも突っ込めないやるせない平凡な私
「それでも構わないよ、その噂は先行した噂に過ぎないから。運命の相手を見つけたら良い…僕は目の前に居るから」
「アリス王子っ…」
「曲が始まるね、特訓の成果を披露するチャンスだ」
広間で聞こえる演奏は勿論生演奏
その人達とアイコンタクトでも取れるかの様に私の腕を取ると曲調が変わる。