17
リュクエさんは同意を求める様に執事の方を向くと少し悲しそうに頷いてる
「はい、王家の人間は悲しいですが身内も疑わないといけない時もあります…アリス王子はきっと特に。この国の第1王子ですから」
「そうなんだ…」
権力争いみたい感じかな?
弟さんの方が国を継ぐとか前に放してくれてたっけ…家族や親族も敵になるのか。
向こうも規模は違うけど遺産相続とか争いはあるもんね…家の家はそんな事なかったからなぁ…お父さんもお母さんも気持ち悪いくらい仲良くてよく友達に茶化されてたっけ?
あの時は嫌だったけど、今考えると幸せな家庭だ
…お父さんお母さん元気かな?
こっちの事で思考力いっぱいで向こうの事はあまり考えてなかったからな、この頃
そんな昔を懐かしむ様な気分に浸ろうとした私に黄色い悲鳴が邪魔をする
「あっ!姫君様、アリス王子が下りて来ましたよっ!」
執事の声と共にその声が近づく様に大きくなる
私はさっきの階段の方に視線を向けると2人が下りてくるのが見えて思わずリュクエさんと執事の後ろに隠れてしまう
そんな事しなくてもこんな大勢の中、見付けられるわけないのに…つか、私を探しに来るわけじゃないのになんて自惚 れた行為
「何?…お、カイン」
「姫君様?あ、アリス王子!こちらです」
私…バカだっ!
リュクエさんとアリス王子の執事の後ろに隠れたら1番駄目じゃん!!
見付かりたくなかったら離れなきゃいけないじゃない!
2人にとって顔馴染みの人物に近付いて来るに決まってるのに…変なの、自分。『見付かりたくなかったら』ってさっきあんなに自分から見つめてた癖に
矛盾しまくり…。
「リュクエ王子お久し振りです……さっきから忙しそうだね?」
「えっ?」
アリス王子はリュクエさんに挨拶してから私の顔を覗き込んで言う
その間の悲鳴ったら…もう堪えられないくらいなんですけど
「誰かを一生懸命捜してる様だったけど見付かった?」
「…見てたの?」
「うん、上からで申し訳無いけどね。せっかく人を付けたのに意味無かったみたい」
いつから見てたんだろう?
さっきまで席には居なかった筈なのに…でもこんなに沢山居ても見られてたんだ。
よっ!流石ストーカ…とは言えない雰囲気
さっきまで狭く感じた広間は寒さを増した
動物園の動物…特にパンダはいつもこんな空気で笹食べてたのか…胃とか痛くならないのかなぁ。
私はなんだか横腹がキリキリしてきたよ
「執事さんは悪くないの私がシンデレラを見失っちゃったから…その… 」
「やっぱり…無駄なのに」
うっ…!
ちょっといつもより声が冷たく無いですか?アリス王子さん…。