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なんか王妃がいつもの様に芝居掛かった声で言ってるけど、周りの女の子達の歓声でよく聞こえない…
周りをみるとアイドルみたいに騒ぐ女の子と黙って上を見つめる淑女に別れてる
やっぱり淑女達は教育されてるし、場数をこなしてるって感じだ
身分も関係ないとは言ってもやっぱり差は歴然
私も思わず声出しちゃったし…
でもしょうがないよね?
普段お目にかかれない王家の人達、しかも美形な王子様の登場じゃアイドルのコンサート状態になるよ
私だって頭で考えてるけど目線外せない
少し大人びた王子様から
でも…当たり前だけど視線は交わらない
「ねぇ、どちらがアリス王子様?」
「わからないけど…どっちも素敵!」
「もしかしたら2人の王子の正妃選びかも知れないわね!」
近くで聞こえる声に現実に戻ってやっと後ろを振り返るとリュクエさんは凄くニヤニヤしてるし、執事は反対に凄く怒ってる顔
取り合えず謝ろう。
「ごめんなさい」
「姫君様にもしもの事が有りましたら困ります…リュクエ王子が傍に居てくれたのですね、有り難うございます」
「いえいえ。やっぱり1人で行動してないよねぇ…姫君様」
「リュクエさん!」
からかう様な発言だけど 、やっぱりリュクエさんは執事さんを知ってるんだ
きっとセレナーデ国にも何度も来てるんだな
それにリュクエ王子か…やっぱり『王子』って呼んだ方が良いのかな?
今更な感じもするけど…
「別にどんな呼び方でも構わないよ?」
「え!?」
「あれ?違う?『王子様なんて呼ばないといけないのかぁ~』って思ってたんじゃないの?」
「様まで付けようと思って…って何で私が…」
「アハハ、姫君様は結構顔に出やすいじゃない?自分で気付いてないの?」
「…そんな事…」
「カインはね?小さい時からアークに比べられて相手の思ってる事とか結構敏感に感じる奴だったんだ、大人の顔色ばかり気にしてた時もあったし」
『…そんなに顔に出てた?』
『あぁ、どんなに顔を隠しててもお前の事見てるし?』
あ…そう言えばそんな事言われた様な?
でもあれは心の中と言うより普通の顔を見てだよね?
でもリュクエさんが言うならカインは私の考えてる事とか…。
「気付いて無いと思うよ?恋は盲目ってね」
「っ…気持ち悪っ!!」
「えぇ~酷いなぁ~」
リュクエさんの声に間髪入れずに声が出る
目の前の一応王子に言う言葉じゃない…普通だったら即抹殺レベルだ
でもリュクエさんは何でもないみたいに笑ってる
「だってそんな透視みたいな…」
「俺も人の心に 敏感だからね、カインと違って女の子の心には尚更。それに王家の人間だからね相手の思考くらい探れないと…きっとアリス王子も敏感だとおもうよ?」