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「立て込んでるの?良い男でも居た?」
「そんなんじゃないですっ!」
からかう様な口調で言いながらリュクエさんは私についてくる
そんな注目を浴びてる人と一緒に居るのは正直嫌だけどハーレムシンデレラがリュクエさんの蜜に引き寄せられたら楽なんだけど…そんな簡単に行かないか
彼女の目当てはアリス王子だから…
うーん、シンデレラが王子様に憧れるのは物語的に合ってるんだけど…現れ方も目的も多分何だか違うし…このままアリス王子と会ってもきっとアリス王子はハーレムシンデレラと恋には落ちない
「そうだよねぇ~姫君には既に王子様が居るからね」
「………」
「此処に来るまでは違うと思ってたけど…その姿を見ちゃうと相手の王子がどっちかわからなくなったかなぁ?カインが見たらどうなるかな?ちょっとそれも面白そうだけど」
「カインも来てるの!?」
リュクエさんから出た名前に私は直ぐに後ろを振り返ると彼は笑ってた
「…ふぅん?やっとこっち向いてくれたね?当たり前だよ、アリス王子とカインは幼馴染なんだから」
「そうですよね……」
当たり前だよね?リュクエさんが居るのに幼馴染のカインが来ないわけがない
「この舞踏会は表向き はアリス王子の正妃探し…でも本当は正妃のお披露目って本当?」
「えっ!?」
「あれ?何も知らないの?そんな格好してるからお披露目かと思ったけど……でもお披露目なら此処には居ないか」
そんな事聞いて無いけど王妃はそんな事を最初言ってたけどアリス王子は『そこまで強引にしないよ』って笑ってたから
「もうっ…!」
「ちょっ…何叩いてるの?!」
私が自分の頬を何度も叩くとリュクエさんは止める様に私の手を掴む
「いや、自分の自惚れ感が痛すぎて…」
その手を放して貰うけどまだ叩きたいよ
自惚れじゃないとしても自分が正妃候補だと実感してると自分の考えが嫌になる
「…よくわからないけどせっかくの白い肌が可哀想だよ…あ、アリス王子」
「え?」
リュクエさんが顔を上げて言ったと同時に周りの皆の視線が同じ方向を見上げ、私も振り返ると王家の人達が広間少し上の場所にあるバルコニー席みたいな所に揃ってる
アリス王子は勿論、王も王妃も。
弟夫婦も居るけど私はそれよりも1番最初に目に入ったのは…カインだ
「アイツ、居ないと思ったら…」
「姫君様っ!やっと見つけましたよ!」
後ろからはリュクエさんと執事の声が聞こえるけど私は目が離せなかった
そこには正装したカインが居て何だかいつもと 違って見える
「本当に王子様みたい…」
広間からは長い螺旋階段上れば行ける場所だけど…勿論、広間から上ろうとする人は誰もいない。
その階段は今、見上げてる人達だけが通る事が許される様な感じ