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『アリス王子の姫様』だとか『この方が正妃になります』とか言われたらタテロールになにされるか…しかもこんなに女の子が沢山居る場所で
「何よ?」
「何もありません、本当にごめんなさい!失礼します」
頭を下げて執事を引っ張って立ち去ろうとすると中々動いてくれないっ!
結構頑固なのか?
意地でも何か言いたそうな目をしてるけど…こっちも言われたくないから小さな小競合いをしてると
「さっ、行きましょうシンデレラ様」
「そうですよ、王子とのダンスを踊る為に中央広間に居た方が目に留まりますよ」
「そうね、それに初対面じゃないんだもの。きっとアリス王子も私を覚えてる筈だわ!」
え?
ちょっと…今なんて?
「コイ姫様っ!流石に苦しいですっ!ってちょっと!」
執事を解放して私は離れてくタテロールを追い掛けた
シンデレラって言ったよね?
しかもあのタテロールが着てるのは青色のドレス!
アリス王子と会った事があると言うならきっとそうだ!
ハーレムシンデレラだっ!
「待ってっ!タテロールさん、ちょっとお話しを…」
見えなくてなるタテロールを青色ドレスを頼りに女の子を掻き分けて行くと後ろから強い力で引っ張られる
執事さんっ!?
「ごめんなさい!ちょっとついてきて下さい!」
「勿論、こんな美しい姫君を1人で行動させるなんて出来ないよ」
「え!?」
本当は後ろを振り返ってる最中に見失うのが怖かったけど取り合えず声だけでも掛けた方が良いと思って前を向きながら言うと執事さんとは違う声が返ってきて振り返る
ヘリウムガスでも嗅がせてしまったか?と思うくらい違う声
でも私を引っ張ってるのは本当に別人だった
「…リュクエさん?」
姿を確認すると同時に匂う香りで人物が一致した
正直、香りがなかったらちょっと気付かないくらい前と服装が違うから
アリス王子までとはいかないけど正装してるなって感じ
首に掛けてるフワフワの長いマフラーみたいなのが何だかリュクエさんらしい
私もキスマーク隠しにファーペットみたいのつけてるけど長さが違う
「やっぱり本物?凄く綺麗な姫君が1人で居るから声を掛けようと近付いたら…残念だなぁ」
何が残念なのかは知らないがなんでリュクエさんが此処に?
それより周りの視線も凄いんだけどっ!
勿論、私を見てるんじゃなくて淑女達はリュクエさんに目を奪われてる
「あの…今ちょっと立て込んでて…」
此処に居るの はビックリしたけど、今はシンデレラ探しが先決だ
中央に行けば見つかる筈