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「はい…ですが城の者ですから」
「えっ!姫様とか?」
アリス王子の弟とかの親戚とか居てもおかしく無いけど、やっぱり血縁は駄目とかなのか?
でも『シンデレラ』なら…
「滅相も無いですっ!このお城のアリス王子のお眼鏡に叶う姫君なんてコイ姫様だけですよ」
「いや…私じゃなくてっ…痛っ!」
相変わらずの姫様扱いだけどコイ姫ってなんか嫌…『恋』大好き夢見る夢子ちゃんみたいにひねくれて聞こえてしまう
実際『お姫様』には憧れてたけど今ではそうでも無いもん
そんな事を思ってると背中に衝撃を受けて距離を取ってた執事が素早く受け止めてくれた
おおっ!流石プロだ
さっきの心の傷は忘れよう
「危ないじゃないっ!」
「ごめんなさい…」
「……ふんっ!どんなに綺麗で着飾ったりしても無理なのに」
甲高い声に振り返って即座に謝ってしまう
どっちが悪いとかそんなの考えるより頭を下げる
新社会人の癖だ
だけど振り返った相手は絶対私より年下だ、しかも何だか絶対此方が悪いみたいな言い方されて上から下を確認するように言いやがって
それになんだよ、この子
言っちゃ悪いが凄く『悪役面』だ。
勿論言わないけど思うだけ許して欲しい
不細工じゃないんだけど、目元がキツい感じだし、そのタテロールみたいな髪型はウィッグ?
そんなタテロールは劇画タッチの漫画で拝見したくらいだよ
本当は見た目で判断しちゃいけないんだけど言葉もかなり感じ悪い
その女の子の周りには沢山の従者が居るからきっとかなり身分の高い人なんだろう
それに比べて私は執事さん1人だから『コイツ身分が低い癖に一丁前にドレスだけは上等なの身につけやがって!』と言いたいんだろう。
こう考えてる私もひねくれてるけど…悔しいけどその通りだ
しかも身分も地位も無いんだからなぁ…
まだ何が有るかブツブツ言ってる女の子に私は早くこの場を離れたいと思ってると私の執事さんがさっきまでの柔らかい話し方から一変して固い口調で女の子の従者に話し掛けた
「すみません、どちらのご令嬢でしょうか?」
「こちらはルノワール公爵のご令嬢ですよ?先ずはそちらの…」
「そうですか。こちらはアリス王子の…んっ!」
「ごめんなさい!こっちが悪かったので申し訳ありません!」
執事さんの優越感を感じ取り思わず持ってたハンカチで執事の口を塞いでしまう
まるで怪しい薬品を嗅がせてる気分だけど、絶対に私に不利益 な発言をしようとしたよね?