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「コイお姉さんもそうだったの?」
「……うん」
「そうですか……では益々僕達のせいで巻き込まれてしまったかもしれません」
サーチャちゃんもイルーナ君も凄く申し訳なさそうな顔をする
小人が魔法……
白雪姫は狩人と駈け落ち中
本当は白雪姫が毒リンゴを食べる筈なのに私が食べてしまった
『夢か現実かを決めるのは貴女です』
「……」
『希に起こるんですよねぇ、違う世界の人間が飛ばされる事が』
この世界が間違ってるなんて最初から解ってた事じゃない
だって私が存在してるなら……それはもう本当の童話の『白雪姫』の世界じゃない
『後、2回で決まります…いえ、決めて下さい…白雪姫』
白雪姫……か。
「あのね……私も聞いて欲しい事があるの……」
皆を巻き込んでしまったのは私だ
私の選択に
それから、仕事に行ってた3人も帰って来てから私は自分の素性というか向こうの世界……異世界から来てる事を伝えた
仕事の世界の事や飛ばされた経緯、こっちに来れるのは3回だけの事、時間の流れが違う事……それから、私が知ってる『白雪姫』とは話が違う事。
「コイお姉さん……」
「はい……」
私の解りづらい説明を皆は黙って聞いてくれた。
最初はナナセが嘘だと信じなかったけど、私の真剣な顔に皆がナナセを黙らせて最後まで聞いてくれた。
「話してくれてありがとうございます」
「え?」
イルーナ君が私の手を取り微笑んでくれる
「話すの勇気が言ったわよね」
「コイお姉さん、ずっと不安じゃなかった?」
サーチャちゃんとゴメスが顔を覗き込んで来るその瞳は心配そう
私の話……信じてくれるの?
話は聞いてみたけど信じられないって思わないの?
「私……」
「おい、泣くなよ……ほらっ!」
「ちょ……」
ナナセを見ると目の前が真っ暗になったと思ったら柔らかい感触にタオルだと気付く
タオルを掴み流れる涙を拭う
やだ……私、泣いちゃってたの?
大人なのに……
「もう大丈夫だよ」
シークが肩を叩いてくれる……まるで子供をあやすように『よしよし』と優しく
「ふぇ……ごめんなさい……」
そうだ、は魔法を掛けられてるんだ、本当は同じ大人なんだ……でも大人でも小人でも皆の優しさは温かくて関係ないや。