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翌日の侍女達の態度はあからさまに違った
解ってた事だけど、一応否定はした『ただ話してただけ』って
でもこんなキスマークを見て信じる人は居ないだろう。
侍女だから『解っております』と頭を下げてくれたけど…きっと心の中じゃ違うって思ってるんだろうなぁ
アリス王子のバカヤロー
そして私の大バカヤロー
2人で躍りのレッスンをすれば思った通り王子様は上手い
私がミスっても上手くカバーしてくれるし、足を踏んでも怒らない。
私が上手く隠してるキスマークにも触れないでくれてる…これは有り難い。
王妃に見られたら…と思ったけど
『昨日は2人だったようね!アリスってば積極的になってくれて嬉しいわ』と言われた…
これを聞いて侍女達を見て駄目だと判断したわ
もう隠してるのは逆にバカみたいな気分になるけど堂々と出すのもおかしい
そんな疑惑の目を周りから向けられながら舞踏会当日を迎えた
「姫様、とてもお似合いです」
「えぇ!本当に」
「でももう少しレースが沢山のドレスでも…」
「これで良いから…」
舞踏会用のドレスは私の為に作ってくれたんだけど1着じゃなくて出来上がったドレスは数着
本当はドレスなんて何でも良いし、 ぶっちゃけ舞踏会に出るのはまだ気が重い。
でも色々採寸されて疲れたから1着くらい…なんて甘い考えも浮かんだのは事実だけど、こんなに結婚式のお色直し視たいに何着も出来上がるなんて…流石王家。
その中で侍女達が進めたのはもうフリフリの淡い桃色のドレス
腰からフワッと広がってて『正にお姫様ドレスの定番』って感じだったが拒否した
そんなの絶対に嫌だ
寝る時とかのならピンク系は我慢出来るけど舞踏会なんて大規模な所で着れるかよ…。
「青色のドレスも捨てがたかったですわ」
「えぇ、少し身体のラインが綺麗に出るから姫様には似合うと思いましたわ」
身体のラインは強調して欲しくないけど皆の意見には少し賛成だったんだよね
わりとロリータ系等が多い中で1番シンプルだったのが青色のマーメードドレス
22歳と言う年齢には丁度良いと思ったけど絵本の中のシンデレラを思い出して却下した
シンデレラって青色のドレスのイメージだから本人でも何でもない私が着て舞踏会に居るのもどうかなって。
きっとこの舞踏会にはシンデレラが来る
アリス王子は顔を知ってるって言ったけど私の手掛りは『青色のドレス』だけだから。
話の流れからシンデレラ登場した瞬間からアリス王子が興味を持つ筈もなく、もしかしたら悪役宜しく沢山の取巻きとか引き連れて来る可能性だってある
男かも知れないし女かも知れない。
取り合えず、私はシンデレラと話したい