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「正解」
自分の顔を指差して言うとアリス王子が頷いた
「でも…私なんて…」
「案外城の中は無防備だ。侍女達は専用の棟が有るけど見張りは昼夜必ず居る。僕は城下町よりも人としての常識なんて通用しない王家の人間が沢山居る城の方が危険だと思う。女性に取ってはね」
「………」
「伯爵や公爵とか出入り激しいし、皆やっぱり自分勝手の人間が多いし、会社で言うなら頭の硬い上司って感じ」
「じゃあどんなに行き遅れでもターゲットにされちゃうかもって事?」
白雪姫の城では王がそんな状態だったけど、あながち自棄になってただけが理由じゃないのかも
とすると…私は…
「僕の姫なら誰も手を出さないからね。誰も国の王位継承権第1位の好きな女性に手なんて出さないから。それに姫の身分なら侍女や騎士団に見張らせる事も出来る」
廊下を歩く時もお風呂に行く時も、勿論練習に行く時も必ず誰が傍に付いて来てくれる
『ウザイ』と思ってた事は黙って置こう
私が安心して休めて居たのは『姫様』だから…それも『アリス王子の姫』
「だから姫に…」
「言い訳の為じゃないからって 前も言いましたけど?白雪さんを愛してるから…使える物は使います」
『愛してる』なんてそんな言葉を今、この状況で言わないでよ
「なんかアリス王子…ズルい」
「白雪さんも…ね?」
そう言って私を抱き締めるアリス王子に私は何も抵抗出来ない
ズルいのなんて知ってるよ…
「キスしたいけど…」
「……っ…」
「これで我慢かな?今の所は…あまり長く居ると僕的にもキツイから今日は帰るね?」
そう言うと首筋を撫でて言葉が出ない私に爽やか王子スマイルをしてアリス王子は部屋から出て行ったんだけど
マント忘れてるのとかそんなの気にしてられない事されたんだけど?
「何が我慢なの?」
首筋を撫でると言うか強く掴みながら手鏡を素早く取って自分を見ると予感的中
紅い痕
これが何か?くらいは知ってるけど…これってかなり親密にならないとされない行為じゃないの?!
莉子とか彼氏の所にお泊まりとかして更衣室で先輩に嫌味言われてたじゃん
こんなにアッサリされちゃった…
「こんなのキス以上じゃん!…羊の皮を被った狼じゃない」
警戒心を怠ってた
だって執務室でも何も無かったし…まぁ仕事中だからだけどさ!
「…………」
いくら擦っても仕方ないけど…私はちゃんと警戒してた?
もしアリス王子が唇にキスしようとしても止められた?