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本当ならノックなんて要らないんだ。なんたってこの国の第1王子様だもん。
でもきっと凄く教育されたんだろうなぁ。
それと異世界の社会人生活、上司の部屋に入る時とかの基本だもんね。
「あの…侍女達は?」
「気を聞かせて席を離れたよ」
「あ…そうだよね」
姫の部屋に王子様が夜訪問する…つまり…えっと…
「ふっ…可愛いですね、白雪さん」
「はぁ?」
「気付いてませんか?顔真っ赤です」
その言葉にちょっと反抗心が芽生えて言い返してしまう…今…思えば変な反撃なんてしなきゃ良かった
「アリス王子だって部屋に来た時真っ赤でしたよ?」
「それは…」
「それは?…きゃ…」
右か左かどちらの手を取られたのかは解らないけどそんなのどうでもいい
だってもうベットの上でアリス王子の肩に私は頭を預けてる状態だから
そんな過去の動作を悩んでも仕方ない
今の状況を受け入れなくては!
「白雪さんが夜も僕と会いたいと聞いて」
「えぇ!!?」
「シー。控えてる侍女達に聞こえますよ?」
やっぱり忍者じゃん!
控えてるなんて待機してるのかよ…それもなんか嫌なんだけど
「会いたいなんてそんな事…言ったの?私?」
「あれぇ?また母上の妄 想かな」
「それが1番妥当だと思うよ?」
さっきより小さい声でお互い話すけどそれで余計に密着してるのに多分2人とも気付いてない。
「でも来れる口実が出来たから良しとしようかな」
「口実?なんで?国の王子なんだからどこでも出入りは自由でしょ?」
確かに入る時とかは一声欲しいけどアリス王子は教養があるからそこは問題ない
「…そうなんだけどね、白雪さんのそう言う所好きだけどね…でもそれが正当化されると、僕は常識はずれになるから」
「そうだけど…こっちの世界じゃそれが当たり前っぽくない?」
「そうだね、仮に白雪さんが僕の姫じゃなくて普通に滞在してると仮定しようか?そうなると僕にはなんの権限も無くなる」
「権限?」
そもそもアリス王子の姫ってのも違うんだけど
「僕は国の第1王子だけど白雪さんが只の旅人なら城には家人や弟達、騎士団の偉い人達も沢山居るでしょ?旅人の白雪さんは勿論身分も地位も無い」
「うん…」
なんか面と向かって言われるとやっぱりキツイわね…。
姫様扱いも嫌だがこれも嫌って子供みたい
「そうなると白雪さんの部屋に無断で入れる人物は増える。向こうの世界の常識は此処では通用しない。こんな綺麗な人が城に居るって知れ渡ったら禁欲生活の男達がほっとくわけない…意味解る?」
そうか、さっきの私の意見が正しいとなると身分も地位も無い私は綺麗は置いといて
「えっと…狙われ易い?」