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来るとしてもきっと相手とか連れてくるよね?王子なんだからさ…お姫様とかさ…
「あぁ~もう!女々しいぞ!自分」
コンコンッ
「はい?!何?」
「…元気みたいですね?」
「アリス王子…?!」
扉の方を向くと目線の下には私が思ってた人物とは違う人が居た
てっきりいつもの様に侍女の誰かだろうと思ってたのに。
しかもベットに倒れて屍だった筈の私は何故かベットの上で立ち上がってファイテングポーズをしてる
何故こうなった?
いつの間にか苛々が募り無意識に立ち上がってたのか?
それならまだいいけど、何でかなぁ?
ここで来るのは侍女でしょ?
無意識だけどノックの音は聞こえもの、侍女だと思うじゃん…時間的にもさぁ。
まぁ…アリス王子だもんね、女性の部屋に伺いを立てないなんて無いと思うけどさ。
きっと昼間の若い侍女にだってノックするよ…普通の王子は…普通の王子…
やめやめ!女々しいぞ!
白雪っ!金髪王子を忘れるんだ!
「頭痛いの?」
「え…違うけど…て言うかビックリするでしょ?いきなり」
頭を大袈裟に振る私に近付いてベットの端に腰掛けると同時に私も腰を下ろす。
いつまでも許される構図じゃないと思うしね。
ファイテングポーズも止めたかった。
「母上に今日はかなり疲れたと思うからって…それに…」
えぇ、もう少しいけばイジメのレベルかなぁなんて考えたくらいだけどね
それより目の前のアリス王子は頬が紅くなってる…
何?
なんだろ?
この敗北感は?
高級な湯槽に入って髪も整えた、貸して貰った寝巻もあまりエロチックなやつじゃないのを使ってるけどフリフリ感は否めない。
だから少女モード的には少しくらい勝ってると思うんだけど…
「王子?」
急に視界か何かで包まれたけど、直ぐにアリス王子の顔が見えた
「そんな格好は良くないよ…僕じゃなかったらどうするの?」
いやいや、ある意味この時間に来れる人間は限られてると思います。
『姫様』扱いの私の部屋に来るのは侍女か王妃、異姓なんて来た事が無いから
「アリス王子しか来ないと思うよ?」
被されたカーテンみたいのは直ぐにアリス王子のマントだと理解する
何だか気分はイスラム教の女性だ
シークに渡されたマントを思い出すな
「本当ですか?イケメンな騎士とか夜な夜な呼んでいるのでは…」
「アリス王子!怒るよ?」
「あはは、解ってますよ。此処には僕しか入れない。特に夜は」
さっきまで少女モードだった筈なのに今は…さっ きマントを掛けてくれた時の様な王子様
…うん、真剣な顔も決まってるよね?