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消えそうって…死にそうって事?
「そうだったんだ」
「拍車を掛ける様に眠る時間が増えて…とても心配してました」
そうだよねぇ…謂わば昏睡状態だもんね
「ですが姫様が来てくださってアリス王子がとても楽しそうで…本当に有り難うございます」
「私は…」
「アリス王子には幸せになって欲しいのです…」
『私は』って何を言いたかったんだろう?
彼女が嬉しそうな…でも少し辛そうな笑顔を見て言葉に詰まる
彼女はきっとアリス王子が好きなのだ
小さい時から知ってると言ってたけど…幸せになって欲しいと言ってるけど、その笑顔は辛そうだ
そうだよね、アリス王子は私から見ても非が無い王子様だ
「私はまだ…その…」
「もうっ!やっと帰って来たわ!」
「王妃!?」
「遅いから迎えに来ちゃったわ!そんなに一緒に居たいなら夜も一緒に過ごせば良いのに、アリスから何も言われないかしら?」
彼女に集中してたから王妃が前から近付いて来てたのには気付かなかった
顔を上げるとドアップの王妃に体が傾きそうになるがそこは王妃の腕力でグイッと支えられる
倒れなかったのは良かったけど捕まってしまう。
彼女は何も言わず頭を下げて居なくなってしま ったけど
私は正直、王妃の登場にホッとしてる
声を掛けたは良いけど…頭には何も浮かんで来なかったから
今の私はきっと最低な女だ
私の心の中を見れる鏡が有ったら同性皆から反感を買うだろう
アリス王子の優しさに甘えてる女
このまま『姫』になっても良いかなって思う心を持ってる
アリス王子は好きだ
きっと、この城に来た時より好きになってる
でもこの『好き』は胸の奥から来る感情じゃないのに私は勝手に脳で『好き』を変換しようとしてる
カインの事を思う時の気持ちと一緒だって
「最低だ」
地獄の様な特訓が終わりベットに倒れる様に呟いた
『舞踏会はもうすぐよ、頑張りましょう!』
明日はアリス王子と練習をすると言う王妃
何とか踊れる様になって来たから本番を意識して2人で…らしい。
特訓の度にアリス王子の執務室に逃げてたけど当たり前だけど、2人で踊った事はない。
本当に公務に忙しそうだったし、私もただ傍に居ただけ…隠れてただけ。
きっとアリス王子は踊りとか上手いんだろうな…生粋の王子だもんね、小さい時から習ってただろうし
カインも踊れるのかな?
「…今…何してるのかな?舞踏会には来るのかな?」
周りに誰も居ないから心で思ってる事がつい口に出る