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あれから数日
アリス王子が眠り姫みたくならなくなったと城の者達が喜んだ
やっぱりずっと眠ってると不治の病なんじゃないかと皆心配してたみたいで、今は部屋から出て公務も行ってるらしい。
向こうで言う『仕事』だけど、王子様の仕事ってもっと華やかなイメージが有ったけど
「やっぱり地味ですか?」
「えっと…」
「良いんですよ?ハッキリと言ってくれて。それが白雪さんらしさですもんね」
「……」
私の目の前で山の様な書類に目を通しては判子を押しまくってるアリス王子
どんな仕事をしてるのかと踊りの特訓中に呟くと、王妃に連れて来られた場所は執務室
あんなに『休みたい』『喉乾いた』と言ってもガン無視してた王妃がアリス王子関連の事を言うと耳を貸してくれる事に気が付いて疲れた時にちょっと使う事にした
アリス王子は休む口実に使われてる事を知ってても笑顔で黙っててくれる
『どんな口実でも僕の所に来てくれるなら良い』とまで言われた
それにアリス王子はきっと私の気持ちに気付いてて、それでも良いと思ってくれてる。
初日の踊りの特訓後にアリス王子に皆の所に帰りたいと告げた
カインにはもう飽きられたかも知れないけど皆には急 にこっちに来たからちゃんと説明したいと。
『それから?』
『え?』
『小人達の所で暮らしますか?』
『えっと…』
『それともカインの国に行きますか?気持ちを伝えに』
『アリス王子』
『言ったでしょ?ずっと見てたから白雪さんが誰を好きなのかなんて見てれば解ります。きっとカインだけじゃないかな?気付いて無いの。体は女性を知ってても心は知らないから』
『じゃあなんで…その…』
『昨日も言ったけどまだ全部カインに向いて無いから。僕に少しでも可能性があるなら何でもする』
『……』
『まぁ、カインが帰って余計に彼に気持ちが向いたかも知れないけど…それでも彼は帰ったんだ』
『帰った』の言葉が胸に刺さる
もしかしたら期待してたのかも知れない
アリス王子の口からカインが帰った理由を聞けるんじゃないかって。
城から呼ばれたからとかちょっとの間だけ居ないだけなんじゃないかなとか。
でも違った
カインは本当に城に帰ったんだ
こんな優柔不断な女を相手にしてたら時間の無駄だもん
それにカインもいつまでもフラフラ姫探ししてられないって言ってたし。
行き遅れじゃない若い女の子と結婚した方が絶対に良い。
白雪姫じゃなくても何処かの国のお姫様とか。
「地味」
「で すよねぇ…これでも国の議案とか結構重大なんだけどね」
「そう言えば向こうでも同じ様な仕事だったよね?」