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朝目が覚めると知らない天井に一瞬元の世界に戻ったのか?と思ったけど直ぐに理解した
私の部屋がこんなに広いわけ無いし、ベットに天蓋なんてないもんね
「んっ……」
身体を起こそうとするけど何だか起きるのが億劫
昨日は結局自力で部屋まで戻れなくてそのまま食事する所に連れて行かれたんだけど
『カインは?』
既に席に着いてるアリス王子に小さな声で話し掛ける
予想してた通りの縦に長いテーブルに、かなりの間隔で椅子が並べられてて横を通る時に聞かなきゃ大声で席から話し掛けなきゃいけなくなりそうだ
食事する部屋に入って私は直ぐにカインが居ないのに気付いた
多分、意識的に姿を探しちゃったのかも知れない。
あんな事を聞いた後だから
案の定、アリス王子からの答えも嫌な予感が当たった
『カインなら城に戻りました』
なんで?とか色々聞きたかったのに素早く席まで案内されてしまったけど…直ぐに『なんで?』なんてきっと聞けなかったと思う。
その後は舞踏会の準備が始まる為に私の踊りの特訓の日程を王妃が嬉しそうに話してた様な…他にも沢山人が居たけど王妃の声だけ覚えてるのはきっと声が張ってたからかな
「起きたくない……」
まるで学生に戻った気分だ
社会人に鳴ったら『行きたくない』とかそんな事言ってられない生活だもの。
満員電車の中で何度学生に戻りたいと思った事か
幸い時間が早いのか私を起こしに来る侍女達はまだ来ない
私のお世話役の彼女達だからきっと来る筈
何で勝手に帰っちゃったのよ?
しかも城に…私を強引にイルーナ君達の所から連れてきた癖に自分だけさっさと…しかも城に帰るってどういう事よ?
あんなに諦めないって言ってたのに
運命なんて関係ないって言ってたのに
『向こうの世界でもこっちの世界でも出会うなんて…本当に運命としか言えねーし?』
あんな事聞いちゃったら…
「……諦めちゃったって事よね?」
フカフカの布団の中、さっきから…寝る前から同じ事を呟く
もっとハッキリと気持ちを伝えてたら良かった
ゴチャゴチャ理由をつけて私はちゃんとカインに正直な気持ちを伝えてない
元の世界とか年齢とか…色々な事を言い訳にして真っ直ぐに伝えてくれてたカインに真っ直ぐ返して無かった
「馬鹿女」
「保身女」
「だから処女なんだ」
最後のは梨子に良く言われてた言葉だ
王子様なんて理想が高過ぎるから処女だとか言われて たけど、梨子は私がガチの『王子様』じゃなく『王子様みたいな人』だと捉えてたんだろう
理想云々の問題じゃなくて現実に居なくて