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「まぁ!素敵ですわ!」
「本当に!アリス王子は本当にお目が高いわ」
「綺麗な姫だと解っててもドレスを着るとまた映えますわ」
思った通りの感想を述べる侍女達に何だか裸の王様の気分だ
偉い人が赤と言えばどんな色も赤になる。
何だか向こうの世界の上司の機嫌を伺う宴会場みたい
勿論、一応他の服はないのか?と聞いたけどこれも同じ様に考えてた通り
「ございません、同じ様な作りのドレスはございますが?」
「そう…じゃあいいや」
せめて色だけ変えようかと思ったけど…面倒だから止めた。
後は早くこの着せ替え人形が終わるのをひたすら待った
髪を手入れしてメイクをされて…
私はこれから結婚式でも挙げるか?と錯覚しそうになりながら、やっと解放されたのはついさっき
正直もう寝たい気分だけどこれから食事が始まる様で部屋で待機中
「はぁ……」
広い部屋はお姫様の部屋そのもの
天蓋付きのベットなんて憧れ中の憧れだったけど出るのは溜め息ばかり
強引にお風呂に連れて行かれてからカインに会ってない
まさか自分だけさっさと皆の所に帰っちゃったんじゃないよね?
「……………」
そもそも白雪姫の問題が解決したらカインは皆の所には戻らないのかな?
後は自分の姫をノクターン国に連れて帰るだけなのに自分から倉庫で寝泊まり続けないよね?
あれでも一応は王子だし。
呼ばれるまで部屋で待ってろと言われたけど私はお姫様部屋の扉を開けて長い廊下を左右確認する
良かった…誰も居ない。
正直な話、私は結構な方向音痴だ
この長い廊下を見て少しビビったんだけど…別にこの部屋に戻って来れなくてもいいからカインを探したかった
「……広い」
カインの城や白雪姫の城で免疫がついてたつもりだったけどやっぱり本物の城は広い!
ドラマのセットみたいにスタジオで収まる様な造りじゃないなぁ
「えっと…こっちかな?」
ドレスも本当に歩きにくいし…こんなの着て踊るとか罰ゲームだよ、絶対
社交ダンスって凄いな…
案の定、歩きまくって迷ってる私に何人か声を掛けてくれたけど上手く誤魔化した
ここで迷ったなんて言ったらスタート地点に戻されるか王妃か…
「アリス王子の所だよね……全く!」
何だか苛苛する
更年期にはまだ早いと思うけど、こんな展開はまさにシンデレラストーリーなのに
なんで私は…そのレールから外れようとしてるんだろう
「あ、窓だ」
取り合えず自分の居る高さを確認しよう と思って窓を覗くと丁度真下にカインとアリス王子が居て思わず口元を手で抑えてその場にしゃがみ込む