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「王妃から湯浴みをお願いされてますので申し訳ありません」
「キメ細かい肌ですのね、姫」
「こらっ!勝手にお声掛けしたりしないの!」
「ごめんなさい、姫君様」
「声は別に……湯浴み?」
目の前で頭を下げる若い女性
いや、声くらい掛けるのは別に良いけど、その前にいきなりの全裸を謝ってくれ
忍者軍団は侍女達だった
どうやら私をダンスの特訓させたいみたいでその前に身嗜みを綺麗にして欲しいと頼まれたと1番偉い感じの女性が答えてくれる
身嗜みって…そんなに汚なかったのかな?
服の臭いを嗅ごうにも既に裸体なので確認出来なくて…ちょっとショックを受けながら連れてかれた場所は大きなお風呂
タイルも絶対に大理石だな…
「ではお湯を…」
「ちょっと待って!私、1人で出来るから!」
全部で4人居た忍者…じゃなくて侍女に声を張る
知ってるよ?
昔の偉い人とか皆お風呂とか家来がしてたって事くらい。
本や漫画でも良く描かれてるけど無理!
身体を洗うのも髪を洗うのも絶対に自分じゃないと無理だよ
美容院とかで髪を洗って貰うのもなんか緊張するのに…
「それは無理ですわ、姫君様」
「なんで?それより姫は止めて欲しいんですけど」
「王妃から丁重にお仕えするようにと言われてますので」
「だったら居ない方が私は嬉しいから…えっとその方が丁重になるんです」
自分でも何を言ってるんだろう
姫と呼ぶのも止めない、お風呂も強制的ならせめてお風呂場ぐらい1人で洗わせてよ!
「でも…」
「もし、危険がありましたら…」
危険って何?
私は暗殺でもされるのかよ?
「皆さんが今、此処に居る方が私は機嫌が悪いんです!こんな姿で抗議するのも恥ずかしいの!お風呂入るから…お願いだからね?」
そうだよ、なんでこんな格好でお願いしなきゃいけなの?
お風呂だって昨日ちゃんとサーシャちゃんと入ったのに!
まるで汚ないみたいに!
「でもっ」
「解りました、では入り口で控えさせて貰うのは許して貰えますか?」
「…うん、あの…上がった時の服は?」
入り口ってリンチされると思って来た扉だよね?あそこなら着替えも自分で出来るかな?
これ以上言い合いしてたく無いし、1番偉い感じの女性が言ってくれてるんだ。
きっと彼女も仕事だからかなり譲歩した筈
「脱衣室に用意して置きます。もし手伝いが必要でしたらお呼び下さい」
何とか忍者軍団と和解して取り合えず湯船に浸かる
「 温かい……」
やはり少し冷えてた体がジワッと温かくなると、さっきのやり取りを思い出して溜め息が出る