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「アリスっ!御披露目の話なんだけどもっ!もう城の者が今度考えてた身分も関係ない舞踏会で国中の女性に招待状を渡しに行っちゃったらしいの、街の中央で宣言まで…まぁ、人は沢山居た方が良いから良しとしましょ!」
いきなりの高い声に私達は一斉に響く声の方を向く
アリス王子のお母様だ
さっきと同じ様に芝居染みた動作、最後なんて扇子みたいなのをパチンっと鳴らすし…
アリス王子の部屋って結構簡単に出入りできちゃうんだな
王妃や王子限定かも知れないけど。
それより身分も関係ない舞踏会にはシンデレラが来る筈なんだけど…
『王子様を探して旅をしてるどこかの令嬢』
この部分でもう違うんだよなぁ…シンデレラは灰の暖炉で寝起きして義理の姉妹達に苛められてる筈なのに……令嬢ってまだお父さんは再婚してないの?
それにカインの情報も気になる
『ハーレム状態』って言葉
それにアリス王子はちゃんとじゃないけどシンデレラと会ってるって言うし
それは前の経験を踏まえると『お互いに運命感じて無い説』が浮上してくる
現にアリス王子は…私を運命の相手だって…
「何紅くなってんだよ?そんなに婚約者としての舞踏会が楽しみなのかよ?」
ドンっと後ろから背中を叩くのは見なくてもカインだ
そんな乱暴な行為を働くのは今この部屋に1人くらいだから
そんなに事より
「婚約者っ!?誰が?」
「はぁ?お前さぁ……アリスっ!そこの暴走王妃を止めろよ」
「…いつもなら止めるよ、でも今回は僕に利益しかないから」
「お前そんなに黒かったか?」
「自分でも少し驚いてる。でもお互い様じゃない?変わるんだよ、本当に手に入れたい人が現れたらね?」
「………」
まるでアイドルが目の前に居るような錯覚
『ね?』って私の顔を見て言った様な錯覚…。
『ほら!今あの人私の事見てたわ!絶対に!』って言ってた梨子に返してた言葉が『錯覚だから』
でも…どうやら今の私は錯覚じゃないみたいだし、このままだとアリス王子の婚約者になっちゃうよ
カインを見ても、つまらなそうにサラサラな金髪の髪をかきあげてる…そんな仕草も格好いい
じゃなくてっ!
「えっと……あらやだ、私ったら将来の娘の名前もまだちゃんと聞いて無かったわ!」
「えっ?」
「母上、彼女はコイさんと言います」
「アリス王子」
「……こっちではきっと小石川って苗字は理解されないと思うよ?小石川さんがずっと名乗ってた名前が良いけど…他のに変える?」
「はぁ?」