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「噂には聞いた事ありますよ?王子様を探して旅をしてるどこかの令嬢とだけ」
そう言えばカインに教えて貰ったっけ?
シンデレラが簡単に言えばハーレム状態を作り上げてるって。
『まさに乙女ゲームの鉄板』だなって。
「会った事は?」
「少しだけ…でも残念ながら運命は感じなかったよ、名前も言われて思い出しただけだし。でもシンデレラが存在してると僕が小石川さんの相手じゃなくなる感じで嫌なんですけどね……カイン!入って良いよ?」
え?
アリス王子の声と同時に後ろの扉が開くとツカツカ歩いて私とアリス王子を引き離す
あぁ…やっぱり距離感短かったのか
離されて実感する
「おせー!女1人落とすのにどんだけ掛かってんだよ?」
「ごめんね?僕は女性の扱いに慣れてないんだよ、カインみたいに」
「へぇ……何かいつもと違うな。いつも心此処に在らずって瞳だったのに」
「当たり前でしょ?やっと見つけたんだ運命の相手」
『運命の相手』の言葉にドキッとする
「で?運命の相手はなんて?」
「……僕には他に姫が居るって言われちゃったけど諦められない……君と一緒で」
「………」
これってもしかして凄いモテ期?
自慢じゃないけど向こうでも結構モテたけど、それはカウントしてない。
だって私がモテたいのは王子様だから
そんなシンデレラの王子様と白雪姫の王子様に『運命の相手はお前だ』みたいな事を言われちゃってるのは……
「私?」
「え?」
「ん?」
思わず声にだして口を手で塞ぐ
ツートップの美形が……王子様が私を見てる
今更だけど…夢じゃないよね?
「コイ、お前どうするんだ?」
そんな私の肩をバンと軽く叩いたのはカイン
当たり前だ、アリス王子がこんな野蛮な事しないよね?
「どうするって?」
「だからっ……なんで俺がこんな事まで言わなきゃいけねーんだよ!此処に連れてきた事もやっぱり後悔してんのに」
アリス王子の部屋なのか知らないけど、とにかく広い
沢山あるソファにカインは強く勢いをつけて座る
これが木製の椅子だったら臀部の痛みは相当だなぁ……なんて考えてるとアリス王子がカインに笑いかける
「本当に変わったね?カイン」
「何がだよ?」
「だって何をするのにも面倒だって言ってたカインが……えっと……」
アリス王子は私を見て目で合図するように伺ってくる
そんな熟年カップルみたいな技術力は勿論無かったけど会話の流れで何とか読み取れた
アリス王子が言葉に詰まってるのは私の名前だ。
でもさっき普通にカインの前で私の名前呼んでたけど……?