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アリス王子近付き過ぎっ!
それに物凄く確信を突かれた言葉に怯んでしまう
『カインが好き』それはイエスと答える事が出来るけど…私が此方に残ってカインの姫になるって…まだ想像が出来ない。
岡本さんはどんな風に選択肢を迎えたんだろう?
取り合えずアリス王子にはちゃんと椅子に座って貰い『白雪姫』の話をした。
「じゃあ白雪姫はその異世界の人と結ばれたって事?」
「うーん…結ばれたとはまだいいきれないかも。でも白雪姫は彼しか好きにならないって。カインもその…白雪姫に興味が全くなくてね」
何だか仕事のミスを言い訳してる気分だ
ちょっと懐かしい
「そうなんだ」
「だからっ…アリス王子にも『シンデレラ』って女の子が現れるの!カインに『白雪姫』がちゃんと居た様に」
そうだよ、その身分も何も関係無い舞踏会を開けば硝子の靴を履いた白雪姫みたいな綺麗なシンデレラが来るんだよ!
「そうかも知れない、でもカインは物語の通りに白雪姫を好きにならなかった」
「………」
「異世界から来た小石川さんを好きになった。…僕と同じ様に」
「アリス王子…」
真剣な瞳に私は目が離せなくなる
「僕はこれを運命だと思ってるよ?小石川さんに出逢う為に異世界に行ったんだ…そして、小石川さんも此方に来てくれた」
「それは…」
「小石川さんはカインに会いに来たのかも知れないけど小石川さんの理想は?」
「………」
「僕がシンデレラの王子様だとすれば…小石川さんが断言するなら小石川さんの理想の相手は僕だ」
誰よ?
穏やかで強引じゃないなんて言ったの
あれ?違ったっけ?
あぁ!『優しくて紳士的で一途な王子様少し気が弱い』だ。
優しくて紳士的なのは有ってるけど気が弱いは嘘でしょ?
気が弱い王子様がこんな間近で自分が私の相手だって迫れる?
「えっと…私は……」
確かに私の理想の王子様
小さい時から叶わないと想いながらも頑なに譲れなかった夢
憧れてのお城で素敵な王子様と恋に落ちる
それがシンデレラの王子様だ
でも…私は……今、目の前の出来事を理解出来ない
もう異世界の無茶苦茶な話やいい加減な話し方には慣れて時空の事も理解出来てるのに……自分に都合の良い話が理解出来ないししたくない。
なんで……素直にこの手を取らないの?
1回振ってる相手だけど自分が憧れまくってる王子様なのに
年齢だってなんの問題も無いのに
ネックになる事なんて
「小石川さん……僕じゃ駄目ですか?」
「……アリス王子はまだちゃんと知らないんでしょ?シンデレラを…… 彼女を知れば……」