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多分、彼は本当に王子様なんだ
だってカインも言ってたじゃん幼馴染みだって。
私と岡本さんは異世界に来た人間で、彼は私達の世界に行ってた人
どういう事?
逆パターンもありなの?
そんなに継母が言う通り来れる人も行ける人も多いのだろうか。
でも仮に王子様でも向こうでも経理課って役職がついてるしでもそこも私とは違うパターン?
「僕はこの国の第1王子として産まれました。でもある日、向こうに飛ばされて」
やっぱり…しかも第1王子なんだ
「そうだったんだね?それは大変だったでしょう…ですね?」
なんだかどうやって話して良いかわからないよ、向こうでは同い年だったけど、カインの幼馴染みって事はこっちでは年下かも知れないし。
カインにアリス王子の事を聞こうと思ったのに気付いたら近くにカインは居なくなってる
「カインなら気を聞かせたのか部屋から出て行っちゃいました」
「えぇ!?もう…人が大変な時に…っと!」
人が混乱してる最中に…私も扉に向かおうとするけど何かに引っ張られて動かない
腕が固定されてるみたいで後ろを振り向くとアリス王子がやっぱり私の腕を掴んでた
「小石川さん」
「はい」
名字で呼ばれるのなんて久し振りで少し緊張して返事を返すと優しく言われる
「僕の話を聞いてくれますか?」
優しい声に頷いた
だって、『嫌』なんて言える筈がないし掴まれた腕は強くなくて…何て言うか優しい
それを振り切ってまで話を聞かないなんて出来ないしやっぱり単純にアリス王子の話は気になった
勿論、カインの事も気になったけど…此処に私を連れて来たのはアイツで…
「座ってて下さい今、飲み物を用意して貰いますね」
「はい…すみません」
アリス王子に誘導されて座ったいかにも英国風な椅子を触りユックリと周りを見渡す
ここがシンデレラ城って事になるのかな?
シンデレラはまだ居ないけど、王子様と住むのは此処だからきっと私が見た外観の設定で合ってる
「…シンデレラ城の中に居るんだな、自分」
嘘みたいだ
白雪姫の世界に来ただけでも驚きなのに憧れのシンデレラ城…しかもその相手の王子様は私の国を知ってる逆異世界人って奴?
「そんなに珍しいですか?」
「え?あ…どうもです」
目の前に高そうなカップが置かれると何となく会釈をしてしまう。
これはOLの性なのか?
白雪姫のお城みたいに執事じゃなく
王子様自ら紅茶を持って来てくれたのにはちょっと驚き
「まぁ、向こうからしたら珍しい光景ですよね ?僕からしたら小石川さんの世界の方が凄い光景でしたけど」