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あまり男性の顔を見ない私が覚えてたのは『王子様ッポイな』って感じたから
眼鏡を掛けてるけど整ってる容姿にあのカボチャパンツが似合いそうって心の中で思ってた
『あの…いきなりでごめんなさい、でも僕ずっと女性にあまり興味が無くて』
『はぁ…アッチ系?』
『違います!そうじゃなくて…こっちの人…と言うかあまりにも積極的な女性が多くて』
思わずアッチの人かと聞いてしまった
まぁ、積極的な女性ってのは何となく判る
だって身近に梨子が居るから
それに、この人って庇護欲と言うか…守りたくなるタイプだし、皆が狙ってるから散々声を掛けられたんだろう。
こっちの人って意味が解らないけど。
『そう、それで?』
新しく仕入れた本を早く家に帰って読みたい私は先を急かすと彼は俯いてしまった
おいおい、まるで告白フラグかよ…ってそうなのかな?
王子様ッポイけど残年ながら彼がどんなにお金持ちでも王子様じゃない。
『好きです…あの…友達から…』
『ごめんなさい。私…シンデレラの王子様がタイプなので』
『え……』
『変な答えかと思うけど私は王子様と結婚したいの。だからごめんなさい!』
『あっ…ちょっと!』
その場から逃げるように去る時に新しい靴が脱げそうで躓く
余計に恥ずかしくて猛スピードで逃げた…記憶が!
「え…あの、経理課の?」
私がそう言うと俯いてた顔を上げると真っ赤な顔で私を見て頷いた
「本当に小石川さん!?どうしてこっちに…と言うか僕の事覚えててくれてたんですね?嬉しいです…凄く」
「………」
真っ赤な顔を更に紅くするから、どっちがどっちかわからなくなる
普通は目の前の方が女子的な反応だもん
「アリス、どういう事だよ?ちゃんと説明しろ!」
「カイン…ごめんね?僕、嬉しくて…もう会えないと思ってたから。前に話した…僕の運命の相手だよ」
「………」
「まぁ!ちょっとアリス!そんな事が言える様になってるなんて…そうだわ、取り合えず舞踏会は開きましょ?アリスの運命の相手のお披露目として」
「あのっー!」
王妃はそう言うと嬉しそうに部屋を出て行く
絶対に逃してはいけないと思ったのになんて素早さで走って行く王妃なんだ
あんな格好であの速さで走れるなんて…
「…前に夢に見たって言う女が、コイツなのか?」
「夢じゃないって何度も言ったじゃないか…僕は異世界に行ってたって…小石川さんもそうだったんだね?」
異世界に行ってた?
「私は…こっちに来てる方?って言うのが正しいかな?えっと…ごめん、整理が出来なくて…経理課の人じゃないの?」