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門を守ってる人と知り合いみたいに話してるけど『何度も』って。
「アイツ、起きてるのか?」
「多分…今は起きてると思いますので」
「わかった」
そう会話を終らすと馬から降りて私も降ろしてくれる
カインと喋ってた人や周りの兵士達の視線は当然私に集中する
だよね?
ごもっともだよ、お前誰?って感じだよね?
「あの…そちらは姫様ですか?」
はぁ?
勇気を持って発言したのは結構若い兵士
若いと言っても私より年下ッポイのがまた溜め息を吐きたくなるのに『姫様』って…
どこをどう見たら姫に見えるのか
つか、もっと私より年配の人は居ないのかなぁ?
この国は若者しか居ないの?
「あぁ、俺の姫」
「ちょっとっ!」
言うと思ってたけど返しが早い!
私も思わず頭を叩く
しかも『姫』とか言うなよ、ややこしい!
「になる予定………狂暴だけど綺麗だろ?」
「はいっ!美しい姫ですね!」
「だから姫じゃ…ちょっと!それに狂暴って何よ」
訂正しようにもカインに引っ張られて長い敷地内を歩いて行く
私の叫び声が聞こえてるのか門の人達は頭を下げて見送ってる
なんか勘違いされてるよ
「間違って無いだろ?俺が姫にしたい相手だし、綺麗なのも間違ってない」
「…………」
そんなハッキリと綺麗とか麗しい顔の王子に言われると…言葉に詰まるよ
「中身は狂暴で見た目だけだけどな?」
「何ですって!アンタは見た目は良いのに中身は強引で非力で…でも本当は…」
剣だって強くて言葉だって上手く言い返せたり出来る…
「何だよ?」
「…何でも無いっ!それより起きてるとか眠ってるとかどういう事?まるで眠り姫みたい。それから頻繁に出掛けてたのってこのお城?」
シンデレラ
不思議の国のアリス
眠り姫
何だか色んな物語りがオンパレードなんだけど
カインの横を歩きながら綺麗に続いてる壁画を見ると本当に夢の国の城みたいだ
現実世界は中には入れないけど…今私、シンデレラの王子様の城に足を踏み入れてるんだ
「……そんな嬉しそうな顔するなよ」
「え?」
「なんだよ無意識?余計ムカつく」
「カイン……」
足を止めたカインに合わせて私も止まる
どういうわけかこのお城は付添いみたいな人が居ない…すれ違う城内の人とか頭を下げるけど案内人みたいのが付かないって事はカインは別に特別な客人じゃないんだろう
それだけこの城に馴染んでる
本当に幼馴染なんだ
「優しくて紳士的で一途な王子様…少し気が弱いけどアイツはピッタリだよ、お前の理想に」
「………」