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「着いたぞ…」
「え?」
「此処がアイツの国の国境、小人達の場所からはそんなに遠くないだろ?」
そう言いながらカインの国に行った時みたいに兵士に何か見せたり話してる
ここにシンデレラの王子様が居るんだ
「……そんな顔すんなよ」
「ちょっ…馬っ!危ないでしょ!」
「大丈夫だからお前はここ」
お城の方を見てると後ろから片手で抱き締められたと思ったらまた胸に顔を押し付けられる
確かに馬はまだ走り出して無いけど兵士達が見てるじゃん!
「分かったから早く動いてよ」
「…やっぱり行きたくねー」
「はぁ?アンタがほぼ無理矢理連れてきた癖に何言ってんのよ」
空を見上げてカインが呟く
行き先は教えてくれたけど強引に此処まで連れてきてなんて台詞だ
いくらメルヘン乗りでも臀部の痛みはトモナウんだぞ!
私は多分一生、馬には慣れない体質だ
「会わせないとお前の中のアイツは消えないから」
「あのさ、アイツって前も言ってたよね?知り合いなの?国同士も近いみたいだし」
カインの馬が速いのか結構、国と国は密集してる様に感じる。
『ノクターンが突破されれば次はこの国に侵略して来るでしょう』
依然カインが白雪姫の王に言ってた事は決してハッタリじゃないって事だ
「…幼馴染みだ」
「え…マジで?嘘…シンデレラの王子様と幼馴染みなの?白雪姫の王子様が?」
うわー!
どこまでも絵本に忠実じゃないな!
「煩いなぁ!耳元で叫ぶな。シンデレラって所が今は問題なんだけど…って俺はもう白雪姫の王子様じゃないからな?」
「問題って?」
「取り合えず城に行くぞ。アイツが起きてるか分からないけど」
そう言うと馬を城に向かって走らせるカインは本当に嫌そうな顔
そんなにまで嫌なのに連れてくの?
『お前の中のアイツは消えない』って…どういう意味だろ?
私はシンデレラの王子様を知ってるの?
いやいや、22年探したけど会った事なんて無い
そもそも向こうの現実世界には居ないと痛感してた。
「わぁ……」
暫くして見えてきた景色に思わず声が出た
メルヘン乗りで景色を見る余裕が出てる事も驚きだけど…声を出さずにはいられなかったの
だって…あの夢の国みたいなお城が見えてきたから
カインのお城も白雪姫のお城も素敵だったけど私がずっと夢見てたお城はここだ
私の声は聞こえて無いのかカインは無言で城の城門に行く
「カイン王子」
「大変な時に何度も悪いな」
「いえ、アリス王子もカイン王子に会えると嬉しい筈ですよ」