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グイッと体が引っ張られてシークじゃない、いつもの匂いに包まれた
そんな事を当たり前に感じ恥ずかしくなる
でも仕方ないじゃん!?
だってずっとメルヘン乗りされたり…抱き締めらたりしてたから…って逆にもっと墓穴掘ってるな、自分
「はぁ?まさか城に連れてくとか言うんじゃないよね?」
「そうだよ」
シークの声に当たり前の様に答えるカインを見上げる
「はぁ!?ちょっと待ってよ…」
「言っておくけど俺の城じゃない」
「どうゆう事ですか?コイお姉さんはまた突然戻る可能性があるんですよね?僕達としてはもしもの時も含めて傍に居て欲しいんですが…」
「もうっ!そこは『俺が傍に居たいんだ!』くらい強く言いなさいよ!」
「サーシャ、僕は俺とか言いませんよ」
「馬鹿ね、女は普段と違うギャップに萌えるのよ!せっかくインテリ眼鏡なんだから自分の武器使わないと損よ?」
サーシャちゃん、相変わらず現代語沢山知ってるなぁ…でもイルーナ君の言う通り可能性がある。
「コイは俺みたいに突然消えるのか?」
「えっと…私は岡本さんと違って姿は此方に残るみたいになんです…簡単に言うと寝てる状態?」
「姿は残って向こうに行くのか…俺とは違うな」
体は残って向こうに行くってよく考えたら幽体離脱みたいだな
どんな仕組みなんだろ?
「それなら余計に変な所連れて行かせられない、コイお姉さんが眠ってる間に婚姻とかされたら困るし」
婚姻って…シーク。
「あのなぁ…」
「何だよ、やりそうじゃん。眠ってる筈だった姫にキスする予定だったくらいだし」
「それは予言だったからだよ、今は違う!俺は…俺をちゃんと好きになって貰いたい。だから連れてくんだよ」
「どこに?」
「アリスの所だ」
アリス?
アリスってあの不思議の国のアリス!?
やっぱりお伽の国は繋がってるって事?
「アリスってアリス王子の事ですか?」
「え?王子?」
イルーナ君の声に直ぐに反応してしまった
王子って…男だよね?
アリスは…女の子だよね?
「カイン…どういう事?」
「…連れて行きたく無いけどお前が好きな奴だよ、行くぞ。消えるとかそんな事嫌だけど時間が無いのは事実だろ?…今度は選択の時なんだろ?」
「カイン…」
私が好きな人ってのもよくわからないけど私には時間が…読めない、こうしてる今だって意識を無くしてしまうかも知れないんだ
「俺はお前を絶対俺の姫にする」
何度も聞いた言葉につい頷きそうになるとイルーナ君が小瓶を持ってくる
「よく解りませんがコイお姉さんには納得してくる此方に残って欲しいのは僕も同じです。コイお姉さんが会いたい人には会っておいた方が良い。」