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「では取り合えず白雪姫さんと岡本さんは元の家に戻ると言う事ですね…お城の方は?」
「まだ無理よねぇ~そんな王が居る所。かと言って家はもう満員状態、只でさえ図体が大きくなったからロックには色々直して貰わないといけないし」
家に戻って2人の今後を話すとサーシャちゃんもお城には反対派
「私はユックリ海を落とすわ」
「姫…」
岡本さんの腕を離さない白雪姫
凄い…これが若さなのか?
「そうね、2人の時間が多ければ多いほど愛は深まるしね!頑張って」
「任せて」
女子トークに男子は興味が無いのか付いていけてない…因みに私も若さのパワーに付いてけなくて岡本さんと目が会う
「コイは?これからどうするんだ?」
「それは……」
岡本さんの問い掛けに正に今の問題を投げ掛けられて言葉が詰まる
まず、まだ私は後1回は向こうに戻れる…それがいつかは分からないけど。
でもそれも選択肢の時だ
白雪姫は王子と結ばれない結果になったら私は自動的に白雪姫になるわけじゃないんだよね、自分で決めるんだ
継母にとっても白雪姫さえ幸せになれば私の役割りなんてどうでも良いと思うし。
「コイお姉さんはこのまま此所で暮らすんだよね?」
「シークっ…」
後ろから抱きつかれて耳元で囁かれてドキッとする
なんか体が締め付けられるような声
やっぱりだ…今の声は絶対口説き用だよ!
「勿論、此処に居て欲しいのは皆の気持ちですよ」
「気持ち~」
「……」
イルーナ君の声にコダマみたいに聞こえる少し高い声
シークに拘束されてるから体は動かせないがなんかスカートを引っ張られてる様な…まさかこんな堂々とシークがセクハラしてるとも思わなくそっちに目線を向けると淡いピンクの髪がフワフワしててまるで綿菓子みたいな子が私を見てる。
「なんだ、やっと起きたのかよニーチェ」
「ニーチェ?」
ナナセがフワフワな髪をグシャグシャ撫でるが形状記憶みたいにフワフワのまま肩くらいで揺れてる
髪の長さも服もピンクだし…何?この天使みたいな風貌は!?
本当に男の子?!
確かにニーチェは癒し系だったけど
「どこにも行かないで?」
「ニーチェ…」
更に強くスカートを引っ張るニーチェはまさしくニーチェだ。
しかもナナセ同様、小人の時とあまり変わらない…こういう性格のまま育ったんだろう。
「大丈夫だよ、コイお姉さんは俺と結婚するから…あっ、でも暫くは2人で住みたいよね?……聞かれたくないコイお姉さんの声とかあるしね?」
「シークっ!」
最後の台詞は私にしか聞こえない小声
『なんの声』なんて考えるのも恥ずかしい!
「悪いけど コイツは連れて行かなきゃ行けない場所があるんだよ」