7
「どうして駄目なのに戻って来たんですか?」
「コイ」
岡本さんの言葉に堪らなくなって2人に近付く
駄目なのに戻って来るって?
そこまで白雪姫を気にしてるのに?
「選択肢したんですよね?もう向こうに戻れないんですよね?…白雪姫を自分じゃなく他の人に幸せにして貰いたいって気持ちだけで向こうの生活を忘れられるんですか?…さっきも話しましたけどより近い者を異世界に呼んだって継母は言いました」
「あぁ」
「…岡本さんは私みたいにお伽の話とか知らない感じだったし、此方にこれる確立が高いのは…この世界に憧れてじゃなくて向こうで何か有ったんですか?…存在していたくないくらいの事が…何か…」
それと…最初は白雪姫に恋愛感情は無いと思ってたけどそれにしては白雪姫の幸せに執着し過ぎてるよ
自分の子供じゃあるまいし。
きっと自分の人生よりも幸せを願ってる
「俺には恋人が居たんだ、勿論結婚するつもりの相手だった。俺より歳上で美人なんだけど可愛い人だった」
「だったって……?」
カインの言葉は私も気になってたけど言わなかった。だって過去形なんだもの
「ずっと病気でもう治らなくて…この前戻った時に病院で亡くなった」
「この前?」
「あぁ…時間の運命なのか丁度だ、俺の向こうの未練をまるで消す様に…綺麗な黒髪で唇は真っ赤で…まだ生きてるみたいだった。死んでるのに」
黒髪の唇は真っ赤
美人で可愛い人
「あの…」
「今、眠ってる姫そっくりだった」
「…顔も似てたんですか?」
「あぁ、此方に来てビックリしたさ。噂には聞いてたがまさか自分の恋人とそっくりだとは。勿論、白雪姫の方が年齢は下だったけど…姫はどこか大人びてたから余計に」
「それで逃がしてあげたんですか?」
「何故か俺に興味を持ってくれてな。俺も自分の恋人が元気に歩いてるみたいで嬉しかった…でも城の噂で白雪姫が殺されると聞いて助けたかった…せめてこの子だけでも」
この子か…。
やっぱり恋愛感情は無かったんだ、この頃は
きっと病気の恋人と重ねてて白雪姫を逃がしたんだ
現実の恋人はもう助けられないって知ってたから
「でも…恋人は亡くなったんだろ?」
「カイン!」
「解ってる、言い方悪かったけど…それって本当に運命じゃんって…予言者が言ってた…生まれ変わっても惹かれ会う者達が居るって。時空を越えても」
「そうなのかな…でも最後に恋人に言われた言葉がある」
怒ってるかと思った岡本さんは少し悲しく笑った
「なんてですか?」
「『生まれ変わってまた貴方と恋をする、だから貴方が好きになった人が私の生まれ変わりだと良いな。とにかく…また大切な人を探して欲しい』って」