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「お前って本当に口悪いな」
「誉め言葉として受け取るよ、コイお姉さん」
シークは私の腕を取ってカインから引き剥がすと当たり前の様に抱き付いて
「シーク…」
「子供の特権でしょ?ほら、皆待ってるから早く行こう?」
「うん」
そうだ、白雪姫起きたのかな?
「あー!やっぱり飲ませるの止めたい!コイっ!今は別に戻さなくても良いじゃないかよ」
後ろから着いてきて私の横に立ち叫ぶ…そう、正に叫んでる感じ
「煩いよ、お前」
「何が子供の特権だよ…そんなのなくても抱き付く癖に……はぁ、子供も嫌だけど大人の姿も嫌だ!」
「カインっ!もう少し落ち着きなさいよ!」
「本当だよ、王子の癖に。もっと教養を身に付けろ」
シークに連れられて私達は家の中に入ると皆がいつものテーブルに集まってた…そこには白雪姫の姿はなくて岡本さんの姿だけが見えた
「岡本さんっ!戻って来たんですか?」
思わず駆け寄って当たり前の事を聞いてしまう
でも…戻って来たって事は…もう向こうには…
「あぁ、やっぱり俺は戻ってくる時期が早いみたいだが…今回はちゃんと選択する時があったよ」
「選択…」
異世界からこっちに来れる回数は3回だけ
岡本さんは1回戻って、また来て…今回で3回目だ
「その話は後で…それよりまだ白雪姫は眠ってる。君達が継母に会いに行ったのは聞いたよ」
「お帰りなさい。コイお姉さん、王子」
「お疲れ様~無事に帰って来て良かった~」
「良かった~」
イルーナ君の後からサーシャちゃんが言うとニーチェが抱き付いて来るのを受け止める
「ただいま」
「大丈夫でしたか?道中」
「うん…まぁ、色々有ったけど収穫は多かったかな」
「要らない収穫も有ったけどな」
「王子は何か気に入らない事でも…?」
「座ろうか!取り合えず話が先だよね!」
「そうよ~皆席に着きなさいよ、せっかくスープ温めたんだから。それに白雪姫が起きる前に岡本さんが戻って来てくれて良かったわ」
「俺も姫が気絶する程ショックを受けたと聞いたよ。間に合って良かった」
「………」
サーシャちゃんの合図でいつもの席に座るけど目の前の岡本さんを見ると『大丈夫だ』と言う様な顔をする
岡本さんはきっともう向こうには帰れない筈。
そう考えると何故か手放しには喜べない気分
それなのに白雪姫の事を考えて…
「で?継母には会えましたか?」
「あ…うん、ちゃんと会えたし話も出来た」
それからは白雪姫のお城の出来事を皆に伝えた。
継母は本当は白雪姫を愛してる事、王から守りたくて私と岡本さんを呼び寄せた事
「じゃあ本来は俺達はこの世界に来なかったって事か?」
「確率の問題だと思う…こっちに来れる人間は向こうに沢山居るけど空間管理者に会う確率は低いから」