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「そのダジャレみたいな呼び方止めてよね!恥ずかしいんだから」
そもそもなんでカインの命令に従わなくちゃいけないのよ。
侍女役はもう終わったんだから
「だったらさっさと自分の名前を思い出せ!絶対にコイなんとか~とか名前が抜けてる筈なんだから」
「私が抜けてるみたいに……ん?」
そう言うと私の腕を掴んで部屋から出ようとするカインの腕を離すと継母が私の耳元で囁いた
「我が娘を頼むぞ…白雪」
名前を呼ばれて継母はいかにも魔女らしく微笑んでた
「まだ白雪姫起きてないよね?岡本さんはどうだろう……カインまた?」
城から出るとカインは溜め息を吐いた…もう何回も。
これからまたメルヘン乗りをしなきゃいけないのかと思う私の方が溜め息を吐きたい気分なのに。
「なぁ、本当にアイツらを元に戻すのかよ?」
「そんなに年上になられるのが嫌なの?良いじゃない1歳くらい」
なんて贅沢な悩み事を!
「違う…別にそんなんじゃない」
「じゃあ何よ?」
「アイツら、特にシークが大人の姿になるのが嫌だ」
「何で?」
「お前に手出されそうだから…後、眼鏡のイルーナとか」
「なっ…」
確かにサーシャちゃんは子供のまんまが安全とは言ってたけど…取られるってそんな逆ハー展開
「だから嫌だ…あー!女を好きになるって面倒くさ!」
まだ近くに兵士が居るのにお得意の台詞を大きな声で!
「…だったら好きにならなきゃ良いじゃない、それに本当に好きならどんなライバルが現れても頑張るものよ?そういう所に女の子はキュンキュンしちゃうんだから」
まぁ、自分は女の子では無いけど
ライバルが現れたくらいで諦める様な好きは本気じゃないよね
本当に好きなら奪うくらいの意気込みじゃないと!
「キュンキュン?」
「あ~えっと、そんな姿に惚れちゃうって言う意味かな」
「惚れる?関心だけじゃなくてもっと気になってくれるって事か?」
「あの…それは一般的な意見で決して私の意見じゃ無いわよ!?」
私の両方をガシッと掴むと真剣な顔で見つめて来たけど、いや、違うから!
「お前はそうは少しも思わないのか?」
「少しも…とはなくは無いけど」
もう…関心とか興味とか…もうそのレベル越えてるんだけど…なんかやっぱり言えないよぅ…
「そっか、じゃあ負けないくらいの気持ちで頑張るか」
そう言うと颯爽と馬に股がって私を抱き上げてくれてカインの胸に引き寄せられて馬が走り出す
一国の王子の癖に…頑張るとか…女の子なんて選び放題の癖に
カインって本当に…好きにさせるの上手過ぎる…