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「よくあんなにスラスラと嘘が言えた物だな…ノクターン国の情勢は耳に入ってるぞ」
「でもあの王は戦争なんて関係ないって感じだったから知らないと思ったんだよ」
「ふふ…確かにその通りだ、隣国の情勢より白雪姫の行方だからな…それにノクターン国はこれからもっと優勢になると鏡が写し出した」
「え!?そうなの?良かったね!カイン」
「これからか…やっぱりお前を母上が欲しがるわけだな…」
「え?」
「いや、別に母上が欲しがらなくても直に娘になるからどうでもいい」
「………?」
意味が解らない私を横目に継母はカインをずっと見てた。
勿論、戦術なんて本当に聞く必要はなく『白雪姫』の事を王妃の部屋で話し合った
まずは毒リンゴ事件なんだけど皆には確かに魔法を掛けたらしいんだけど、私には一切食べさせて無いと言う
「本当に違うの?」
「当たり前だ、何故可愛い我が娘を窒息させて、そこの王子の嫁にさせなくてはならない…だからお前を呼んだのに」
上手く『生贄』って単語を使わないで継母が言う事も確かにそうだ…不幸になるって判ってて白雪姫に毒リンゴを食べさせてるわけが無い…
となると、やっぱりあのお婆さんはローブの男と同じ空間管理者か…
私に決める回数はやっぱりあるんだ
継母にはそのまま王の動向を監視して貰って継母の騎士団で王の団を撹乱して貰う事を約束した
もっとも答えが出ないのは白雪姫が幸せになる方法
「白雪姫との糸が1番近い者を引き寄せたのだ…なのに何故あの男は…」
「取り合えず岡本さんが戻って来たらゆっくり話してみます。可哀相だけで危険な城から救い出すのはよっぽどの勇気が必要だもの…何かあるかも知れない」
「その報告は私の兵士に…」
「ええ、ちゃんと伝えますし白雪姫にも継母の…王妃の想いを伝えますから」
「それは…」
「きっと白雪姫は直ぐには信じないと思うけど言わないなんて絶対に勿体無い…岡本さんと引き合わせたのは王妃なんだから…きっと感謝する」
例え2人が結ばれなくてもこの世界に愛してくれる人が居るって安心する要因だもの
「…まぁ別に私はどちらでも良い、白雪姫が幸せになれば…そうだ、この薬を渡そう」
王妃は私に小さな小瓶を7つ渡してくれた
これって…これってもしかして!
「皆が元に戻る薬!?」
「あぁ、もうあの兄妹が我が娘を狙うとは考えられないからな」
「有り難…ちょっと!カイン!」
貰った小瓶を大切に袋に仕舞おうとするとカインに取られてしまう
「これを飲んだら…アイツらが元の姿になるなんて俺は嫌だ」