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「元騎士団長が呆れるな、たかが王子に」
「申し訳ありません」
もしかして……あのボロボロの姿ってカインがやったの?
イケメン執事ってば騎士団長だったんだ?
かなり偉いさんじゃん?モテ要素が増えた……じゃなくて
「カインっ!あれアンタがやったの?」
強引にカインを離すと綺麗な顔に血がついてて拭こうとすると首を振る
「返り血だから……それよりそんな事どうでも良い!朝、起きたらお前が居なくて……消えたのかと思った……」
「カイン……」
「良かった……居なくならないで……」
さっきよりも強く抱き締められると変な不平等の事なんか忘れちゃう
こんなに心配してくれたんだ
あんなに人を傷つけるくらい
「あの王子がこんな風になるとは……」
継母の言葉に無意識にカインの背中に腕を回そうとしてた自分の動きが止まる
うわっ!
今は他にも人が居たんだ……なんてハレンチな行動をしようと
私が手を戻すと同時にカインも私を守る様に離れて締まってた剣を取り出し継母に向ける
その剣には少し血がついてる……やっぱりイケメン執事を傷つけたのはカイン
イケメン執事は継母の前に立とうとしたけど、それを手で止められた
「お前がコイを連れて来てたのか?」
「そうだと言ったら?」
「殺す」
「ちょっと待ってっ!カイン!」
継母の言葉に食いぎみに答えたのは本気だと思われる行動の意思だ
「ふっ……面白い事もあるものだ。こんなに人は変わるのだな、美しい我が娘には興味を示さずこの行き遅れには……」
「行き遅れ行き遅れって言うなっ!昨日から何度もスルーしてたのに!カイン!殺しちゃ駄目だけど殴って良いから」
「殴るより俺は殺したい」
「それはちょっと困るんだよ……カイン、確かに私は昨日の夜に捕まったけど継母は簡単に言うとだよ?白雪姫を守りたいだけなの」
そう、ザックリ簡単に言うとね
生贄だとか白雪姫以外は結構どうでも良い感じは今のカインに説明すると本当に斬りつけそうだ。
「王妃様は白雪姫を幸せにしたいだけなのです。魔女と契約してまで鏡を手に入れて…この世界では無い別の場所で幸せに暮らせる様にと……異世界から生贄を呼び寄せて」
「よーするにっ!継母は守りたいけど、王は白雪姫を捕まえたいの!」
イケメンの癖に余計な事を……私はカインの気を引くように顔の頬を服の袖で拭いてあげるとその手を取られて指先にキスをされる
「コイ……本当に無事で良かった」
「…………っ…」
そんな顔で見つめないでよ……ドキドキしてる場合じゃないのにさぁ