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「……ん……寒い……」
「起きたようだな」
誰?
それに何だか凄く暗いし寒いし頭も痛い
「そうだ!頭……痛っ……」
頭に手を伸ばそうとしたけど何かに引っ張られて手が動かない
その代わりジャラジャラとした音が私が身体を動かそうとすると聞こえる
「そんなに強くしては無い筈だ、それと無理に動こうとすると自身で手足を傷付ける事になるぞ異世界の女」
「………っ!」
声は低いが女の人だ
部屋は暗いから顔は見えないけど……もしかして継母?
シークじゃないけど勘で思った
私は手足を鎖で拘束されてるみたいだし……最後の言葉
『異世界の女』
「…貴女は継母?」
「こんなに暗いのに見えるとは異世界の人間は視野が鋭いようだな」
「そんな変な能力持ってるわけ無いでしょ…それに継母の顔なんて知らないし!…痛っ……もう!これ取りなさいよ!」
ちょっと動こうとすると走る痛み
鉄の鎖はかなり痛い……さっきの頭の衝撃も忘れるくらいだ
「やはり年齢にそぐわない女だ、直ぐに暴れる……正解だったようだ。そんな落ち着きの無い人間を拘束するのは当たり前だろう」
「普通の人は拘束なんてしないわよ!」
「私は普通では無い……周りの人間 は『魔女』と呼ぶらしいからな」
魔女……やっぱり継母か。
まさかこんな展開になるなんて思ってもみなかった。
自分の状態もそうだけど継母が味方じゃないかも知れないし…それに私の存在知っててこの拘束でしょ?
絶対に良い方向に話は進まないパターンじゃん!
「ねぇ、貴女はなんで私の存在を知ってるの?」
声を出すだけで寒気がするのはこの部屋の雰囲気だけじゃない、変な事を言ったら殺されそうな雰囲気なんだよ
物語の『白雪姫』になるかならないか?って選択肢は有ったけど…まさか殺されるENDとか想像してなかったしっ!
それに継母は味方だと思ってたのに…
「気丈だな、目が覚めて自分の状態を見て泣かない所は白雪と似てる…どんな目に合わされても耐えていた」
ん?
部屋の灯りは蝋燭みたいのだけだからよくは見えないけど……自分の希望的観測だけど、継母の顔色が変わった気がする
凄く辛そうだ
「白雪姫はこんな事されてたの?」
「白雪にされてたのは虐待だ主に性的虐待。こんな拷問みたいな拘束はされた事はない……と私は思いたい…私みたいに両方の屈辱など」
今、正に拷問体制の私
普通なら『私が拘束おかしいでしょ!』と叫ぶだろうけど……継母の言葉『思いたい』ってのに凄く希望が見えた
「ねぇ……抵抗とかしないからこれ外してくれない?」
もしかしたら……なんて思って言ってみたらとんでもない言葉だけが返ってきた