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「………」
反対側を向いてるカインの声だけが聞こえる
なんて言葉を返して良いのか
自分は何を言いたいのがわからなくて聞くしか出来なくて…
「俺さ?お前を抱き締めたりするだけで凄く充たされるんだよな…もっと触れたくなって接吻したくなるんだよ…お前だったら…何しても俺は心が充たされる」
「……」
「あーあ、こんな話しなきゃ良かった……せっかくコイが俺に関心持ったのに自分から余計な情報言っちまうなんてバカだな」
あ…さっき振り返ったの気にしてるかな?
「カイン」
「寝る」
「カインってば」
「…嫌だ」
さっきとは反対にカインが子供みたいになる
まぁ、本当に子供なんだよね
王子だしこっちの成人年齢とか知らないよ?
でも私からしたら普通の高校男子だもんな
「私…ちょっと関心持っただけで泣いたりしないから」
きっとまだ起きてるだろうカインの背中に向かって言って私も背中を向けて横になって布団を被った
「え?」
「おやすみっ!もう話し掛けたらもっと怒るから!」
布地の擦れる音が聞こえる
きっとカインは振り返ったけど私は絶対に振り返らない
きっとあんまり伝わってないと思うけど……私の顔は紅いから
『怒る』の言葉にビビったのかカインはそれから話し掛けてくる事は無かった
あれからどれだけの時間が経っただろう?
眠れない
そりゃそうでしょ?
こんな環境で寝るなんて生まれて初めてなんだもん
別々のベットとは言え……好きな人が近くで寝てて……しかもその人は私の事が好きで……夜の行為にも慣れてらっしゃる………これは悲しくなるから考えなくて良いや。
カインも同じかな?とか思ってたら寝息が聞こえてるからカインは寝ちゃったんだろう……
何だよっ!
好きな女が傍に居るのに…とか思うけど実際何かされても困るし、ずっと馬を走らせてたんだもんね。そりゃ疲れて寝ちゃうわ。
「………」
しかもトイレに行きたくなってきた
確か部屋には無かったから外だよね?
あの暗い廊下を歩いてお手洗いを無事に探せるだろうか?
無理だと直ぐに脳が判断するけど尿意を我慢するのも無理
静かにベットから出て部屋から出ると所々に電灯みたいな灯りが灯ってて想像してたより暗くない
お城だもん、トイレが1ヶ所なんて事は無いと思うしちょっと怖いけど歩いてると声が聞こえてくる
声が小さくてなんて言ってるかわからない
まさか……オバケ!?
幽霊とか!?
こんな城だとリアル霊の可能性大じゃん!!
慌てて部屋に戻ろうと向きを変えようと思った瞬間頭に衝撃が走った
痛いと思う事もなく私は意識を失った