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『時期が決まってます』
そう言われてから数日はドキドキしながらベットに入って眠った
まるでサンタさんのプレゼントを松子供の様な気分で
『パパママさようなら』くらいは心に思ってただろう
だかあれから半年
「いつだよ……」
思わずベットを見下ろしながら呟きた
勿論、ベットに罪はない
文句を言いたいのはあのローブ男にだ
あれから何度も通ってるけど見当たらないしお婆さんも居なくなった
やっぱり夢だったのかと思うけど、現実に指輪はまだ私の指に嵌まってる
これがあると、どうしても夢だとは思えないし…自分自身思いたくないんだよね
「皆、元気かな…?」
イルーナ君、ニーチェに……サーシャちゃん
シーク、ゴメスちゃん、ロック…後誰か忘れてる気がするけど
まぁ……良いか。
あの後、皆帰ってきて…どう思ったのかな?
私はどうなっちゃったのかなぁ……倒れたまんま?
それとも消えてるのかな?
「……行きたいなぁ…あっちに……」
半年経っても、やっぱりお伽の国に行きたい願望は無くならない
いや、逆に強くなってしまった
暫く続いた残業で私は着替える事もしないでそのまま寝てしまって、それが2回目の異世界に行くとは思っても無かった…
お姉さん!
コイお姉さん!
ん……なんか聞こえる…子供の声?
遠くから聞こえる声に目を開けると暗い場所から木目の天井が見えた
「起きた!イルーナ起きたわ!」
「コイお姉さん、大丈夫ですか?気分は?」
「……サーシャちゃん……?イルーナ君?」
ここは……お伽の国だ
私はまた来れたんだ…だけど何だろう…?
凄く気持ち悪いっ!
「まだ顔色良くないですね…解毒剤を飲ませたから大丈夫だと思うけど…取り合えず目覚めて良かった」
解毒って?
まさか半年前の毒リンゴの事言ってるの?
それって……こっちでは時間は経ってないって事だよね?
「吐きたかったらいいよ?」
サーシャちゃんが桶みたいのを口元に置いてくれる
「有り難う……私……どうして?」
時間の流れはわかったけど、どうして此処に居るのか聞かなくちゃ
「炭鉱から帰ってきたらコイお姉さんが倒れてて直ぐにベットに運んで貰ったの」
「傍に毒リンゴが有りましたから……もしや悪い商人に騙されたのかと…」
「……ごめんなさい」
イルーナ君が溜め息をつきながら欠けたリンゴを見せてくれた