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「お前達さぁ、俺の事応援するならコイツに変な期待を掛けるなよな?姫になって貰えなかったらどーすんだよ?」
「ちょっ……カインっ!」
着てたマントを少し強引に脱がすと私の長い黒髪が宙を舞う
「コイツが聖女だとか救世主とか関係ない、だけどコイツが俺を好きになって姫になってくれたらより良い国作りは約束する……何にも関心が無かった俺がやっと絶対欲しい者が出来たんだ、国の為にも頑張るから」
「お姉ちゃんの為に頑張るんでしょ?カイン王子」
「うるせーな、まぁ正直そうだとも言う」
女の子の冷やかしに隠す様子もなく正直に話すカイン
それって国より好きになった女の為にって言ってる様なもんなのに……周りの人は何故か嬉しそうだ
少し年配の女性が私の傍に来て言った
「カイン王子がこんなに覇気があるのは初めてみたわ、国の謁見でもいつも辛そうで……凄く気さくで街の子供達と遊んでくれるんだけど、その時だけね笑顔なのは…なんでも諦めてる感じがしてたけど…本当は凄く優しくて繊細な王子なの」
それだけ言うと私から離れて何処かに行ってしまう
声には聞こえなかったけど彼女の口は『宜しくね』と言ってた
カインって……こんなに国の人に好かれてるんだ
普通、女の為なんて言ったら反感買うに決まってるのに…女の溺れて国が滅亡とかする例もある
そんな反感も買わないし、凄く街の人と馴染んでる姿になんでか私は嬉しくなった
「カイン王子ってかなり恋愛下手だからお姉さん多目に見てあげてね?女の人の扱いとか知らないから」
「……」
さっきのお姉ちゃんが私の耳元で小さな声で伝えて来た
こんな事までバレてるなんて…カインってば…。
その言葉に私は空笑いをするしかなく再び馬に乗り城へと向かった
もう私はマントを着る事は無かった
大きな門を目の前にカイン最後のお願いをしてみた
「ここで待ってちゃ駄目?」
無理だとわかってる事だマントを脱いだのも覚悟を決めたつもりだったけど…自分の背の何倍もある門を目の前にしたら自信も揺らぐよ!
戦争中だから、鎧着てる兵士は沢山だし、この中に入ったらもっと厳重だろうし
さっきの街の注目度の非じゃないよぅ…
これなら、あの街で子供達と遊んで待ってれば良かった
「駄目」
やっぱり…?
「白雪姫の城への手形みたいなもんを貰うだけでしょ?カインがさっと行ってくれば…」
「手形って…ちゃんした王家の状を書いて貰わなきゃいけないんだぞ?その間、父上は居ないけど母上は居るから挨拶ぐらいしとけよ、喜ぶぞ」
「はぁぁ!!?」
母上って…母上っ て王妃様ですよね?
このノクターン国の王妃に挨拶って……!