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何だ、この光景は?
カインってそんなに顔バレしてるの?
森から見たらかなり大きな城だから国も大きいと思ったのに
「カインお兄ちゃん、その人誰?」
王子と呼ばない子供いる中、矛先は私に向けられた。
指を指された上に少し…いや、かなり怯えられてる
そりゃそうだろう、只でさえ子供は好奇心旺盛だ、国の王子である人の馬に頭からマントを被った怪しい人間が乗ってたら興味を持たないわけが無い
「あ~この人は…」
「初めまして。カイン降ろして?」
説明に困ってるカインに頭だけマントを脱いで声を掛けると小さな男の子が
「うわぁ~綺麗なお姉ちゃん!」と叫んだ
カインに降ろして貰うと数人の子供が近寄って来たので同じ目線にしゃがむ
勿論、子供達の手には石などない事は確認済みだ
それに綺麗なんて言われたら…やっぱり嬉しいしね?
子供は正直だもの、うん…正直。
「ねぇ、名前なんて言うの?」
「ちょっと、カイン王子が連れて来たんだからどっかのお姫様かもしれないのよ!言葉を選びなさい!」
私を見て綺麗だと言ってくれた男の子より少し年上の女の子がその子を叱った
見た限り姉弟って感じだな。
「大丈夫よ、私はお姫様なんかじゃないから」
女の子と男の子を両方見て手を握るとお姉ちゃんの方が警戒を解いてくれて
「じゃあお姉さんは誰なの?」
うん、だよね?
そう来るよね…私でもそう聞くわ。
カインが『姫』とか『救世主』とか言いそうだったから急いででしゃばって降りたけど…答えを考えてなかったよ
こんな怪しい格好なら尚更不振だろう
それに私は誰?ってそれは私も思ってる事で…
「このお姉ちゃんは俺が好きな人」
「え?!じゃあ結婚するの?お兄ちゃんのお嫁さん?」
「カイン王子のお嫁さんなの?」
カインの言葉で周りが活気出す
気付かなかったけど周りには子供達だけじゃなくその親なのか大人も居た
これはっ……!
「違う!俺が好きな人ってだけ……だから国の救世主でも聖女でもない……でも俺が心から好きな相手なんだ、だから俺の姫にしたいのは事実」
「カイン…」
「じゃあ予言の姫様では…」
少し年配の男性が寂しそうに呟く
「例え予言の姫が居なくても大丈夫だ、現に国は優勢に傾いてるとさっき兵士に聞いた」
直ぐ様カインが国の状況を説明すると皆の顔が笑顔になってく
「そうね、食料も増えてきたし……」
「子供達も元気に遊べるくらいになったしねぇ」
お母さんらしき人達の声を聞く
そうなの?
そんな話聞いて無かったよ…ただ自分の為に兵士を制圧した事だけは覚えてるけど
「じゃあやっぱり聖女様なんじゃない?」
「ね!カイン王子が好きな相手なら運命の姫なのよ」
国の現状にホッとしたのも束の間、またしても身の安全の危機
聞こえる声と期待に満ちた目で私はもうどうして良いかわからなくなってくる